ライン川の水位低下でドイツ産業に打撃、干ばつと記録的な暑さ続く
ライン川は穀物、燃料、鉱物、工業製品などを運ぶ欧州有数の物流幹線であり、水運への依存度が高いドイツ企業では輸送費の上昇や貨物不足、生産への影響が相次いでいる。
.jpg)
欧州を襲う干ばつと記録的な暑さにより、ドイツを流れるライン川の水位が過去最低水準まで低下し、国内産業への影響が広がっている。ライン川は穀物、燃料、鉱物、工業製品などを運ぶ欧州有数の物流幹線であり、水運への依存度が高いドイツ企業では輸送費の上昇や貨物不足、生産への影響が相次いでいる。
化学大手コベストロはライン川の水運能力が低下し、トラックや鉄道への切り替えだけでは輸送量を補えないとして、西部ドルマーゲン工場で生産するポリエーテルポリオールの一部について不可抗力条項を発動した。この製品はマットレスや冷蔵庫の断熱材などに使われる。エボニックもノルトライン・ウェストファーレン州の化学工場で貨物輸送量の減少による生産への影響が出ていると説明している。
エネルギー分野にも影響は及ぶ。電力大手ユニパーは国内の水力発電所で発電量が低下しているとし、競合のEnBWも同様の問題を指摘する。鉄鋼大手ザルツギッターはライン川の水位低下を受け、ロッテルダムから石炭を鉄道で運び、ハンブルク製鉄所向けの供給を確保している。
代替輸送への切り替えは容易ではない。建設業界団体によると、貨物船1隻分の輸送量をトラックで代替するには最大150台が必要になる場合があり、道路や鉄道の輸送能力不足と高い費用が障害となる。農産物取引会社RWZでは、例年7~8月にライン川沿いの拠点から5万トン以上を出荷するが、今年は10%にも達しておらず、より高価なトラック輸送への転換を進めている。10月まで水位が回復しなければ、事業への影響はさらに深刻になると警戒する。
今回の問題は一時的な物流障害にとどまらず、気候変動によって低水位が繰り返される可能性を浮き彫りにしている。企業や業界団体からはライン川などの水路を重要な交通インフラとして捉え、低水位に対応できる船舶や代替輸送網への投資を急ぐ必要があるとの声が強まっている。
