欧州を襲う記録的な干ばつ、河川や養殖場で魚が大量死
気候変動によって高温や干ばつがより深刻化すれば、魚の生産量だけでなく、水産物価格や地域の雇用、食料安全保障にも影響が及ぶ可能性がある。
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欧州では今夏、記録的な暑さと雨不足が重なり、河川や湖沼、魚の養殖場で水不足による被害が広がっている。特にセルビア、ハンガリー、ルーマニア、チェコ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロベニアなど中東欧では水位の低下と水温の上昇が魚の生息環境を急速に悪化させ、漁業や養殖業にも大きな打撃を与えている。
セルビア北部ではドナウ川の支流や水路が干上がり、取り残された魚が浅い水たまりに集中している。水量が減ることで水温が上昇し、魚が生存できる酸素量も低下するため、大量死につながる危険が高まっている。河川や湖は単に水が減るだけでなく、生態系全体が維持できない状態へ追い込まれている。
養殖業への被害も深刻だ。ハンガリーでは約2万7000ヘクタールに及ぶ魚の養殖池のうち、約1588ヘクタールが高温と水不足によって干上がり、20の養殖場で約280トンの魚が死んだ。被害による収益損失は約13億フォリント(約6.6億円)に達するとされ、失われた魚を補充するには数年かかる可能性がある。
ルーマニアでもコイなどの養殖業者が干ばつの影響を受けている。コイの生産には3~4年程度の周期が必要とされ、単年度の水不足だけでなく、過去数年にわたる干ばつが生産能力そのものを圧迫している。チェコやボスニアの養殖場でも、魚を守るため餌を減らしたり、水中への酸素供給を増やしたりする緊急対応が取られている。
スロベニアでは湖の水位を維持し、魚の大量死を防ぐため、ポンプによる給水が行われている。こうした対応には大きな費用がかかるため、干ばつは環境問題であると同時に、地域経済や食料供給を脅かす経済問題にもなっている。
今回の干ばつは、異常気象が魚の生息環境と養殖業を同時に直撃する危険性を示している。AP通信は当局者の話しとして、「各国や事業者が将来の極端な気象に備え、水を蓄える仕組みや効率的な水利用などの対策を検討している」と報じた。
気候変動によって高温や干ばつがより深刻化すれば、魚の生産量だけでなく、水産物価格や地域の雇用、食料安全保障にも影響が及ぶ可能性がある。
