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カリブ海からメキシコ沿岸を覆う大量のサルガッサム、生態系に深刻な影響

サルガッサムは通常、西アフリカ沖から海流に乗ってカリブ海へ運ばれるが、今年はカリブ海やメキシコ湾でも大量に増殖していることが確認された。
2026年7月30日/メキシコ、キンタナロー州トゥルムの海岸、海藻を除去する作業員(AP通信)

カリブ海からメキシコ湾沿岸にかけて、大量の海藻「サルガッサム(ホンダワラ類)」が海岸を覆い尽くし、観光業や沿岸生態系に深刻な影響を及ぼしている。米サウスフロリダ大学によると、今年7月に大西洋、カリブ海、メキシコ湾で観測されたサルガッサムの総量は約2700万トンに達した。昨年に続く歴史的な規模となり、専門家は今後もこうした現象が常態化する恐れがあると警告している。

サルガッサムは通常、西アフリカ沖から海流に乗ってカリブ海へ運ばれるが、今年はカリブ海やメキシコ湾でも大量に増殖していることが確認された。専門家は「これまでにない現象」と指摘し、昨年発生した記録的な大発生の一部が海域に残り、地域内で新たな増殖を引き起こした可能性が高いとしている。

漂着した海藻は海岸に厚く堆積し、腐敗すると強い悪臭を放つほか、硫化水素などの有害ガスを発生させる。このため、海水浴客が減少し、観光客に依存する地域経済にも大きな打撃を与えている。

メキシコ東部キンタナロー州では、カンクンやプラヤデルカルメンなど世界的なリゾート地で海岸閉鎖や宿泊客の減少が相次ぎ、一部の事業者は営業継続が困難な状況に追い込まれている。

環境面への影響も深刻だ。外洋を漂うサルガッサムは魚類やウミガメ、海鳥などの生息場所となる一方、沿岸部に大量漂着すると海中の酸素を減少させ、マングローブの根やサンゴ礁、海草藻場を覆って日光を遮るため、多様な生物の生育環境を損なう。腐敗した海藻から放出される物質が水質悪化を招くことも懸念されている。

専門家は、この現象の背景として、2011年以降拡大を続ける「大西洋サルガッサムベルト」の存在を挙げる。海水温の上昇に加え、農業由来の栄養塩の流入や海流、降雨パターンの変化など複数の要因が重なり、海藻の増殖を後押ししているとみられる。

メキシコ政府は海上での回収能力強化や防護フェンスの設置、衛星監視の拡充などを柱とする対策を進めているが、漂着量は回収能力を大きく上回る日もあり、対応は容易ではない。

専門家は、気候変動などの長期的な環境変化が続く限り、大規模な漂着は今後も繰り返される可能性が高く、沿岸地域では抜本的な適応策が求められていると指摘している。

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