2020年11月3日

2020年11月3日、ドナルド・トランプ氏があと4年、合衆国大統領として留まるか否かが決まる。

共和党の現職、トランプ大統領は、1970年代から同国の政治界で手腕を振るい、オバマ政権下では副大統領として活躍したジョー・バイデン元副大統領の挑戦を受ける

アメリカの未来を決める国民投票の結果を”予想”できる世論調査支持率は、万能ではない。あくまで予想、有権者の一部から得た回答でしかないことを理解しておくべきだろう。

2016年、ヒラリー・クリントン女史は事前予測でトランプ氏を上回り、本選挙でも300万票以上多く票を獲得したが、負けた。クリントン女史は票数では勝ったが、「選挙人」数では負けたのである。

現在、バイデン氏はほとんどの州の支持率でトランプ大統領を上回っている。しかし、数週間前までは10ポイント近い差があったものの、過去数日の間でこの差が少し縮まった(バイデン氏49%:トランプ氏45%

2016年の大統領選挙時、クリントン女史はトランプ大統領との差をジワジワ広げていた。つまり、結果はフタを開けてみるまで分からないのである。

各州の選挙人の数は、人口によって異なる。最も多いのはカリフォルニア州の55人。以下、テキサス州(38人)、ニューヨーク州(29人)、フロリダ州(29人)と続く。なお、各州少なくとも3人は必ず割り当てられる。

カリフォルニア州で勝利した候補者は、55人の選挙人を丸々獲得できる。つまり、人口が多い地域ほど重要度が高く、クリントン女史のようにたくさん票を獲得しても、重要な州で取りこぼしが出ると、致命的な結果を招くのである。

50州の選挙人数の合計は538人。先に過半数、270人を獲得した候補者が、次期大統領としてホワイトハウスで生活することを許される。

バイデン氏の支持率は、トランプ大統領の失策により上昇。現時点では現職に大きな差をつけている。ただし、選挙までの間に国内で何らかの動きや変化があれば、情勢は簡単に覆るかもしれない、

世論調査によると、バイデン氏はミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州でトランプ大統領を大きくリードしている。

支持率
2016の結果
票差
選挙人
バイデントランプ
アリゾナ48.745.0トランフwin3.6%11
フロリダ50.043.8トランフwin1.2%29
ジョージア45.647.2トランフwin5.2%16
アイオワ45.046.7トランフwin9.5%6
ミシガン49.341.5トランフwin0.2%16
ミネソタ50.041.0ヒラリーwin1.5%10
ネバダ48.344.3ヒラリーwin2.4%6
ニューハンプシャー51.041.7ヒラリーwin0.4%4
ノースカロライナ49.545.0トランフwin3.7%15
オハイオ47.044.7トランフwin8.2%18
ペンシルベニア49.443.4トランフwin0.7%20
テキサス45.245.4トランフwin9.1%38
ヴァージニア50.539.0ヒラリーwin5.4%13
ウィスコンシン48.043.0トランフwin0.8%10

2016年、トランプ大統領はアイオワ、オハイオ、テキサスで圧勝した。しかし、現時点での支持率に大きな差はなく、キャンペーンチームが「確実に獲れる」と考えていた州の雲行きは怪しい。

厳しい事前予測を突きつけられたトランプ大統領は、キャンペーンチームのマネジャーを大急ぎで変更した。まるで「支持率が悪いのはお前のせいだ」と言わんばかりの勢いだった。

さらに、支持率の急落を受け、郵便投票は不正につながるという言いがかりと、「コロナウイルスが終息するまで大統領選挙は延期すべきだ」と発言した。しかし、その提案は共和党の上院および下院トップから却下され、実現する可能性はほぼゼロになった。

現時点でのオッズはトランプ大統領が明らかに不利である。しかし、クリントン女史のように、事前のオッズで上回っていたとしても、勝負は最後までどうなるか分からない。

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米大統領選2020

トランプ大統領はコロナウイルス対策で失敗を繰り返したが、大統領選挙を見据えたうえで、共和党幹部と信頼関係を構築しつつ、支持率回復を狙っている。

3月15日、トランプ大統領は国家緊急事態宣言を発令。ウイルスの蔓延を阻止すべく、500億ドル(約5.2兆円)の支援パッケージを準備し、経済活動復活に向け動き出した。

このアプローチは有権者に受け入れられた。トランプ大統領の支持率は55%まで上昇。なお、共和党有権者の支持率は約90%に達し、民主党有権者も一定数(30%)が支持に回った。

最新の世論調査によると、南西部でコロナウイルスの感染爆発が発生し、一向に収束の兆しが見られないことから、トランプ大統領の支持率は急落。全国は35%台、共和党有権者からの支持率も78%まで低下した。

共和党有権者たちは、トランプ大統領の楽観的な発言を疑わず、「コロナウイルスはそのうち消えてなくなる」「景気はV字回復し、ビジネスはこれまで以上に繁盛する」と信じてきた。

しかし、ロックダウンを解除して以降も、ビジネスは元の状態に戻るどころか悪化。第二四半期のGDPは歴代最高記録を大幅に更新し、感染者数と死者数は増える一方である。

トランプ大統領をまるで神のように崇めてきた共和党有権者たちは、現実をまざまざと見せつけられ、「いよいよ大変なことになるぞ」と焦り、誰を信用すれば良いのか分からなくなっている。

最近、トランプ大統領は初めて公の場でマスクを着用し、「私はずっとマスクをつけてきた」「マスクこそ愛国心の象徴」などと発言、物議を醸した。

保守的な共和党有権者たちの一部は、トランプ大統領を信じマスクをシャットダウンしてきた。しかし、神として崇めてきた男が発言をコロッと変えてしまったのである。

2016年の大統領選挙でトランプ大統領は劇的勝利を収め、ホワイトハウスに君臨した。以降、アメリカの大企業および一部の億万長者や上流階級の者たちは、空前の好景気に沸いた。

当時、世界の国々はクリントン女史が勝つ、と予想していたが、トランプ大統領は300万票の投票差をものともせず、ビッグディールを達成したのである。

3か月後に迫った「米大統領選2020」は、コロナウイルス、パンデミック、経済危機などの要素が複雑に絡みあい、不確実性に満ち満ちている。

ライバルの自滅で支持率を上げたバイデン氏も、一瞬の気の緩みが致命傷になる可能性も十分あり得る。一方、リードを許しているトランプ大統領は、現状を打破する何かしらの秘策がヒットすれば、勝負はどうなるか分からない。

不確実性に満ち満ちた米大統領選2020は、アメリカだけでなく世界の運命を決める一戦になる。

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