◎高所得国では4人に1人(25%)がワクチンを接種、低所得国では500人に1人(0.2%)。
2020年3月9日/スイス、ジュネーブ、世界保健機関のテドロス・アダノム事務局長(Salvatore Di Nolfi/AP通信)

4月9日、世界保健機関(WHO)は、豊かな国と貧しい国の間で発生しているコロナウイルスワクチンの配布における「衝撃的な不均衡」を厳しく非難した。

テドロス・アダノム事務局長は、「全ての国でワクチン接種を開始するという目標はしばらく達成できないだろう」と述べた。

WHOはコロナワクチンの公正な配分を何度も各国に呼びかけてきた。しかし、一部の先進国のワクチン供給数は、WHOなどが主導する貧しい国にワクチンを届けるCOVAXファシリティをはるかに上回っている。

当局のデータによると、COVAXは4月時点で約100ヵ国に3,800万回分のコロナワクチンを供給したという。

COVAXは1年以内に190ヵ国の人々に少なくとも20億回分のワクチンを供給したいと考えており、その中でも特に貧しい92ヵ国に対する接種の遅れは世界全体に影響を与える可能性があると警告している。

テドロス事務局長は記者団に対し、「ワクチンの不平等はほとんど改善されていません」と述べた。「高所得国では4人に1人(25%)がワクチンを接種しています。低所得国では500人に1人(0.2%)です」

COVAXは3月末までに少なくとも1億回分を供給できると予想していたが、結果はその半分にも満たなかった。テドロス事務局長は、「4月と5月で高所得国に追いつくことを望んでいます」と述べた。

<ワクチン接種数/4月10日時点
アメリカ:1億7,500万回
中国:1億5,500万回
インド:9,400万回
イギリス:3,800万回
ブラジル:2,500万回
トルコ:1,800万回
ドイツ:1,700万回
ロシア:1,300万回
イスラエル:1,000万回
日本:150万回

世界:7億3,300万回
アジア:3億3,000万回
北米:1億9,500万回
ヨーロッパ:1億4,600万回
南米:4,600万回
アフリカ1,300万回

2021年4月9日/南アフリカ、COVAXファシリティから届けられたワクチン(ロイター通信)

テドロス事務局長は、COVAXファシリティ外で独自にワクチン取引を進めている国々を批判した。「COVAXに加盟している一部の国とワクチンメーカーは、政治的または商業的理由でCOVAXを飛び越えて契約しています。これらの契約は供給の不平等とワクチンのナショナリズムを煽るでしょう」

テドロス事務局長は1月の記者会見で、「世界はワクチンの供給における壊滅的な道徳的失敗に直面しています」と警告し、「ワクチンの買いだめはパンデミックを長引かせ、世界は自滅します」と述べた。

アメリカ、イギリス、中国、ロシア、EUで生産されたコロナワクチンは世界各国に輸出されている。しかし、各国の供給量には大きな隔たりがある。

デューク・グローバルヘルス・イノベーションセンターの調査によると、高所得国は4月時点で46億回分、高中所得国は15億回分、低中所得国は7億2,100万回分、低所得国は7億7,000万回分のワクチンを予約しているという。

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