◎ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は3月4日の演説で政権に対する非難を却下し、「泣き言をやめなさい。いつまで泣き続けるの?」と国民を叱責した。
2021年2月23日/ブラジル、ブラジリアのプラナルト大統領宮殿、演説するジャイール・ボルソナロ大統領(AP通信/Eraldo Peres)

3月4日、ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領はコロナウイルスの新規症例と死亡者数の急増で政権に非難が殺到したため、国民を厳しく叱りつけた。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、ブラジルの累計感染者数は約1,080万件、累計死亡者数は約15.8万人、3月4日の新規陽性者数は75,102件、死亡者は1,699人だった。

ブラジルの感染状況は昨年10月頃からゆっくりと悪化し続け、医療システムは崩壊の危機に瀕している。

症例の爆発的な増加は、アマゾンの都市マナウスで発生したと考えられている感染力の高い変異種の蔓延によるものである。しかし、ボルソナロ大統領はマスクと感染予防対策を嘲笑し、市民に経済活動を優先するよう呼びかけ続けてきた。

ボルソナロ大統領は4日の演説で政権に対する非難を却下し、「泣き言をやめなさい。いつまで泣き続けるの?」と国民を叱責した。

ジャイール・ボルソナロ大統領:
「あなたは自宅に引きこもりたいですか?収入を失いたいですか?人々はロックダウンにウンザリしています。これ以上我慢する必要はありません。死亡者の増加はとても悲しいことですが、私たちは経済を活性化させなければなりません」

ボルソナロ大統領の叱責は広範な怒りを引き起こし、危機に直面している最大都市サンパウロ州のジョアン・ドリア州知事は憤慨した。

ドリア州知事は現地メディアの取材に対し、「ボルソナロ大統領はワクチンを購入し、このパンデミックを終わらせるために戦っている関係者を攻撃しました。彼は狂っています」と語った。

ジョアン・ドリア州知事:
「市民は家族や友人の死に直面しています。しかし、ボルソナロ大統領は問題に立ち向かう方法ではなく、苦しんでいる市民を罵倒しました...ブラジルの医療システムは崩壊の危機に瀕しています」

2021年2月23日/ブラジル、ブラジリアのプラナルト大統領宮殿、ジャイール・ボルソナロ大統領(AP通信/Eraldo Peres)

ボルソナロ大統領はコロナウイルスの感染拡大よりロックダウンによる経済へのダメージの方が国に悪い影響を与えると主張し、全国の州知事が導入した各種対策を批判し続けてきた。

サンパウロ州のドリア州知事はインタビューの中で、「残念ながら、ブラジルはコロナウイルスとボルソナロウイルスと戦わなければなりません。これはとても悲しいことです」と述べた。

州知事や市長らは医療従事者にかかる負担を減らす独自の措置を講じている。

リオデジャネイロは先日部分的なロックダウンを開始し、飲食店やビーチの入場に制限を課した。

4,500万人以上が生活する最大都市サンパウロ州は感染状況の急速な悪化に伴う緊急事態を宣言し、必要不可欠な施設と店舗以外は3月6日から2週間休業するよう命じられた。

アマゾンの都市マナウスで誕生したと考えられている変異種は世界中に拡散している。研究によると、変異種は従来型に感染し一定の免疫を手に入れた人も感染することが示されており、研究者は再感染の可能性を25%~60%と見積もっている。

マナウスの感染および変異種に関する研究によると、昨年10月までに同市の人口のおよそ75%がコロナに感染していたことが示唆されたという。

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