◎過去24時間の新規陽性者数は過去最多を大きく更新する65,371件、死亡者は264人、直近1週間の陽性者は1日あたり約45,000件まで増加した。
2021年11月18日/ドイツ、ベルリンの議会議事堂、次期首相のオラフ・ショルツ副首相(右)とアンゲラ・メルケル首相(Markus Schreiber/AP通信)

11月18日、ドイツの連邦議会はコロナウイルスの爆発的な感染拡大を受け、新たな制限の導入を賛成多数で可決した。

アンゲラ・メルケル首相は18日遅くの記者会見で、「状況は非常に深刻であり、連邦政府と州政府は迅速な行動を求められている」と述べた。

メルケル首相は法案採決の前に16州の州首相とオンライン会議を行い、新たな制限の導入について協議した。

ドイツ通信社によると、連邦議会は各州の1週間の10万人あたり陽性者と入院患者数を制限強化の指針とすることに合意したという。州政府は医療関係者やナーシングホームの職員などにワクチン接種を義務づけるかどうかを検討している。

上院に相当する連邦参議院は19日に採決を行う予定。

新しい制限が可決されると、民間企業で働く労働者は職場で仕事を行う際、ワクチン接種証明書の提示を求められることになる。コロナから回復した人と陰性を証明できる人も通勤可能だが、連邦政府はワクチン接種を強く勧めている。

メルケル首相のキリスト教民主同盟は、2020年3月に施行した全国を対象とする現在の規則を延長したいと考えていたため、州政府の裁量に任せる新たな制限を批判した。

メルケル首相は演説の中で、「全国を対象とする規則で緊急事態に備えることが重要」と強調した。

ロベルト・コッホ研究所によると、過去24時間の新規陽性者数は過去最多を大きく更新する65,371件、死亡者は264人、直近1週間の陽性者は1日あたり約45,000件まで増加した。

ロベルト・コッホ研究所のロタール・ウィーラー所長は17日、「ドイツは緊急事態に直面している」と警告した。「今対策を講じなければ、ひどいクリスマスを迎えることになるでしょう...」

ウィーラー所長は現在の人口あたりのワクチン完全接種率67.7%を「75%以上」に引き上げる必要があると国民に強く呼びかけた。

接種率の最も低い東部ザクセン州の政府は、部分封鎖に向けた準備を進めている。同州ドレスデンのマイセン地区の直近1週間の陽性者は10万人あたり1,300件まで上昇した。州全体の陽性者は10万人あたり760件で全国トップ。

ザクセン州のミヒャエル・クレッチマー州首相は18日、「州政府は19日に2~3週間続くハードな封鎖への移行を決定する」と述べた。封鎖の詳細は明らかにされていない。

一方、政府にコロナ対策を助言する諮問委員会は18日、ブースターショットの接種対象を18歳以上の全国民に拡大するよう推奨した。ドイツは高齢者や医療関係者などへのブースターを承認しているが、接種を終えた人は11月17日時点で人口の約5%にとどまっている。

ロベルト・コッホ研究所のウィーラー所長は、全国の医療関係者が病床の確保に苦労していると警告した。

バイエルン州ロートタール=インの医療当局者は今週、地域内の全ての医師と看護師に連絡体制を強化するよう呼びかけ、他院が危機に陥った時は必要に応じて救援や医療物資を送り助け合うよう求めた。

ドイツと国境を接するオーストリアの感染状況はさらに深刻で、過去24時間の新規陽性者は15,145件だった。オーストリアの人口は大阪府とほぼ同じ。

オーストリア政府は今週、全国を対象とするワクチン未接種者限定の外出禁止令を発効した。なお、感染の深刻なザルツブルク州とオーバーエスターライヒ州は外出禁止令の対象を全住民に拡大する準備を進めている。

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