コロナウイルス：ヨーロッパは第三波に直面しています

◎ヨーロッパのいくつかの国では、過去数週間で新規感染者数と集中治療室（ICU）の占有率が急上昇している。

欧州各国の政府はコロナウイルスの症例数と死亡者数の減少とワクチンの展開に伴い、1月末頃から規則を徐々に緩和し始めた。

しかし、感染予防対策を無視する市民の増加と変異種の感染拡大により、新規陽性者数と集中治療室（ICU）の占有率は三度上昇し、学校やカフェは閉鎖された。

専門家は、「アメリカ大陸とヨーロッパ大陸では当初の予想よりワクチンが上手く供給されており、もう大丈夫だと思う市民が増えているように感じます」と述べた。

EU、イギリス、そしてラテンアメリカでは感染力の強い変異種が従来タイプに置き換わりつつあり、ブラジルの医療システムは崩壊しかけている。

米疾病予防管理センター（CDC）の局長、ロシェル・ワレンスキー博士は声明の中で次のように述べた。

「ヨーロッパの第三波は社会的距離を無視し、感染予防の規則を早期に停止もしくは廃止したことで現実になりつつあります。アメリカは昨年同じ失敗をしました。まだ感染状況の落ち着いている国は、同盟国の失敗を見て学習しなければなりません」

「緩和戦略を無視した国や地域は第三波に直面する可能性が高く、欧州の感染状況は確実に悪化しています。失敗した国はボール（ウイルス）から目を話しました」

その結果、ヨーロッパのいくつかの国では、過去数週間で新規感染者数と集中治療室（ICU）の占有率が急上昇した。

ポーランドの新規陽性者数は2月始め頃まで減少し続けたが、その後再び上昇に転じ、3月17日は25,000件を超えた。その結果、ICUにかかる負荷も上昇し、政府は17日に3週間の完全封鎖を実施すると発表した。閉鎖の対象はショッピングモール、劇場、ギャラリー、スポーツセンター。

イタリア政府は今週初めにほとんどの学校を閉鎖した。また、レストランやカフェなどの飲食店に出している命令（屋内外での飲食禁止、テイクアウトもしくは配達のみ可）のエリアを拡大している。政府当局者は、中年以下の患者が増えていると警告した。

フランス政府は、北部と南部の都市にロックダウンを課した。首都パリと周辺地域の封鎖の詳細は18日に発表される予定。

フランスの新規感染者数は昨年11月始めのピーク時から4分の1以下に減少したが、1月末頃に下げ止まり、じわじわと増加し始め、3月17日は38,000件を超えた。報道によると、パリ周辺地域の標準的な病院のICUはコロナ患者に占領されているという。

パリ公立病院当局の最高責任者、レミ・サロモン氏はBFMテレビの取材に対し、「今、何もしなければ、私たちは大惨事に直面するでしょう」と述べた。

人口約700万人のセルビアは期間限定の完全な封鎖を開始し、必要不可欠な店舗（食料品店、薬局など）と事業以外全て閉鎖した。同国の感染者数は1月末頃に下げ止まり、その後一気に上昇した。3月17日の新規陽性者数は5,446件。

EUのワクチン接種はイギリスやアメリカに比べると大きく後れを取っている。アメリカでは約5人に1人が1回目の接種を終えているが、欧州諸国はほとんど10人に1人未満である。

＜人口あたりワクチン接種率：3月16日時点＞
イギリス 39％
アメリカ 33％
EU 12％
フランス 11％
イタリア 12％
ポーランド 12％
日本 0.3％

さらにドイツ、フランス、スペイン、イタリアを含む多くの欧州諸国が、ワクチン接種後に血栓が発生したという症例を理由にアストラゼネカワクチンの使用を一時停止し、ただでさえ遅れているワクチン展開はさらに遅れる見通しになった。

米ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの上級学者、アメシュ・アダルハ博士はAP通信の取材に対し、「ヨーロッパはより感染力の強い変異種に先んじてワクチンを展開しなければなりません」と述べた。

「市民の命を守るために、24時間年中無休のワクチン接種を開始すべきです。ヨーロッパを守るために、ワクチンの展開を加速させなければなりません」

「テキサス州と同じことをしてはいけません。マスクの規則を継続したうえで、慎重に企業活動を再開することが大切です」

アダルハ博士はマスクの義務化の廃止は時期尚早と警告したが、レストランや他の施設の入場制限は少しずつ緩和してもよいと述べた。

テキサス州と他のいくつかの州は、まもなくマスク義務化を廃止もしくは緩和する予定である。また、その他の半数以上の州知事も、レストラン、ジム、映画館に課した制限を今後数週間で緩和すると発表している。

【世界の感染状況／2021年3月17日時点】