◎抗議を主催した環境保護団体は、西部地域で計画されているリチウム鉱山開発の中止を望んでいる。
2022年1月15日/セルビア、首都ベオグラードの高速道路(Darko Vojinovic/AP通信)

1月15日、セルビアの首都ベオグラードで政府のリチウム鉱山開発計画に抗議するデモが開催され、数千人の抗議者が高速道路を行進した。

地元メディアによると、抗議者たちはベオグラードから隣国のボスニアまで行進したという。一連の抗議デモで市民が国境を越えたのは初めてと伝えられている。行進の影響は高速道路だけでなく周辺の一般道にも波及し、大渋滞を引き起こした。

セルビア国営放送は進路妨害に激怒したドライバーがデモに参加していた男性1人と接触したと報じた。報道によると、男性は軽傷だという。

抗議を主催した環境保護団体は、西部地域で計画されているリチウム鉱山開発の中止を望んでいる。ある活動家はAP通信の取材に対し、「開発業者が撤退するまで抗議し続ける」と誓った。

政府は鉱業計画をさらに加速させる2つの法案を準備していたが、昨年末頃から抗議デモが激しくなったことを受け、方針転換を余儀なくされた。議会は昨年、リチウム鉱山開発を加速させるために、私有財産の収用手続きをより迅速に行える法律を施行し、権威主義者のアレクサンダル・ヴチッチ大統領もそれを強く支持していた。

デモに参加したベオグラードの住民はセルビア国営放送の取材に対し、「リチウム鉱山開発はセルビアの大地と大気を汚染し、国民を皆殺しにするだろう」と述べ、計画の廃止を求めた。

セルビアは深刻な水質汚染、大気汚染、産業廃棄物の不適切な処理に伴う公害に悩まれており、環境保護を軽視する極右政府の政策に反対する声は日増しに高まっている。

別の抗議者は、「セルビアのために戦う」と述べ、ヴチッチ大統領を非難した。「ヴチッチはセルビアを破壊するつもりです...」

セルビアはEU加盟を申請しているが、環境問題と隣国コソボとの関係が足かせになり、交渉は思うように進んでいない。

セルビアの州のひとつだったコソボは1998年2月に勃発したコソボ紛争でセルビアと衝突し、2008年2月に独立を勝ち取った。ほとんどの西側諸国はコソボの独立を認めたが、セルビアとその同盟国であるロシアと中国は認めていない。

2021年11月27日/セルビア、首都のベオグラードの高速道路(Milos Miskov/AP通信)
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