◎アブダッラー・ハムドゥーク首相は2日に放送されたテレビ演説の中で、スーダンは岐路に立たされていると語った。
1月2日、スーダンのアブダッラー・ハムドゥーク首相は国の民主化への道を狂わせた政治的行き詰まりを打開することができなかったと認め、辞任を表明した。
国軍は昨年10月25日にハムドゥーク首相と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散したうえで、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。
軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導くソブリン評議会を創設したが、昨年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。
ハムドゥーク首相とクーデターの首謀者であるアブデル・ファッタ・バーハン将軍は11月、権力共有協定に署名し新たな軍民合同政府を発足させたが、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主勢力と活動家たちは軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けていた。
ハムドゥーク首相は2日に放送されたテレビ演説の中で、スーダンは岐路に立たされていると語った。「私は責任を返還します。次のリーダーも文民民主国家への移行を完了させるために働き続けるでしょう...」
ハムドゥーク首相は政治勢力間の紛争を解決するという現政権の努力は失敗に終わったと認めたうえで、軍事クーデター後の膠着状態は本格的な危機に発展し、民主化への移行だけでなく国の経済にも深刻な影響を与えると警告した。「私はスーダンの崩壊を防ぐためにできる限りのことをしました。今、この国は岐路に立たされています。現在の行き詰まりを打開できなければ、国は大惨事に見舞われるでしょう...」
首都ハルツームやその他の主要都市では数千から数万人規模の抗議デモが続いており、一部地域では小規模な暴動も確認されている。抗議者たちは新しい軍民合同政府を却下し、文民統制と選挙で選ばれた指導者による政治を望んでいる。
ロイター通信などによると、治安当局は2日に行われた抗議デモを厳しく取り締まり、市民少なくとも3人を殺害したという。
2019年の革命を主導したスーダン医師委員会は2日の声明で、犠牲者のひとりはハルツームの抗議デモ中に頭を殴打され死亡したと述べた。あとの2人はハルツームの姉妹都市であるオムドゥルマンで胸を撃たれ死亡したと伝えられている。
ハルツームにつながる橋や道路は封鎖されたにもかかわらず、大規模な抗議デモが展開された。サイバーセキュリティとインターネットのガバナンスを監視する監視組織ネット・ブロックスによると、ハルツームのインターネット通信は抗議デモの開始前に遮断されたという。
スーダン医師委員会は10月以降の抗議デモで少なくとも57人が殺害され、数百人が重軽傷を負ったと報告している。また国連は昨年、治安部隊が一部の女性抗議者をレイプしたと報告し、厳しく非難した。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1日の声明で、「治安部隊は平和的な抗議デモに対する武力の使用を直ちに停止し、取り締まりの責任者は責任を負わなければならない」と述べた。
またブリンケン国務長官は、2023年の選挙に対応できる民主的な暫定議会、独立した司法機関、そして信頼できる暫定内閣を発足させ、民主化への移行を加速させるよう当局に求めた。