◎インド南部のタミル・ナードゥ州で軍用ヘリコプターが墜落し、陸軍のビピン・ラワット国防参謀長(63歳)を含む12人が死亡した。
2018年1月12日/インド、ニューデリーの政府庁舎、陸軍のビピン・ラワット国防参謀長(Getty Images/AFP通信)

12月8日、インド南部のタミル・ナードゥ州で軍用ヘリコプターが墜落し、陸軍のビピン・ラワット国防参謀長(63歳)を含む12人が死亡した。

空軍によると、唯一の生存者であるヴァルン・シン大佐は軍病院に搬送され、治療を受けているという。ヘリコプターはロシア製のMi-17V5で、タミル・ナードゥ州のクーノアと呼ばれる町の近くで墜落した。墜落の原因は明らかにされていない。

また現地メディアなどによると、犠牲者の中にはラワット氏の妻も含まれているという。

ナレンドラ・モディ首相は8日、ラワット氏は軍の近代化に大きく貢献したとツイートし、哀悼の意を表した。

ラージ・ナートシン国防相はラワット氏を称賛し、「将軍は並外れた勇気と勤勉さで国に奉仕した」と述べた。

連邦政府によると、隣国パキスタンのカマル・ジャビド・バジュワ陸軍長官も事故の犠牲者に哀悼の意を表したという。

ラワット氏はインド軍の最高責任者で、2019年に初代国防参謀長に就任し、陸海空軍を取りまとめ様々な作戦を担当した。また、国防省の顧問も務めていた。

空軍は8日の声明で当局に事故調査を命じたと述べた。現地メディアによると、モディ首相が議長を務める内閣国防委員会は緊急会合を開催したという。

Mi-17V5ヘリコプターはタミル・ナードゥ州の空軍基地から100kmほど離れた町ウェリントンに向かう途中で墜落した。ラワット氏はウェリントンにある陸軍防衛サービス大学を訪問する予定だった。

ヘリにはラワット氏と妻、軍関係者7人(パイロット含む)、その他乗組員4人が搭乗していた。

ヘリが墜落するところを目撃した男性は地元メディアに、「大きな爆発音を聞いた」と語った。「ヘリコプターが降下するところを見ました。その後、ヘリは木に接触し、炎上しました...」

報道によると、墜落現場周辺は樹木が生い茂っていたため、救助活動に支障が出たという。

ラワット氏は現場たたき上げの元傭兵であり、刺激的な発言で何度も物議を醸した。

ラワット氏は2017年、紛争地のカシミールで民間人を縛り上げた陸軍将校にメダルを授与し、論争を巻き起こした。この陸軍将校は、縛り上げた民間人を抗議者の投石攻撃を防ぐ「人間の盾」にしたと伝えられている。

またラワット氏は先月、カシミールのインド人にテロリストをリンチするよう呼びかけ、「私刑」を前向きな兆候と呼んだ。インドの憲法は私刑を認めていない。

カシミールはインドとパキスタンに分割されているが、両国は互いに領土を主張し争っている。そこで生活するカシミール人の反政府勢力は統一カシミール国を作るという目標を掲げている。

Mi-17V5ヘリコプターはインド軍が保有する主要ヘリのひとつで、2017年にも北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州で墜落事故を起こし、軍人7人が死亡した。

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