◎クンブレ・ビエハ山から放出された火山灰は高度6,000mに達し、火口の東に位置するラ・パルマ空港の運航にも影響を与えている。
9月24日、スペイン領カナリア諸島ラ・パルマ島の火山活動が激化し、火山灰と溶岩が大量に放出された。
ラ・パルマ島の南端近くに位置するクンブレ・ビエハ山は19日の午後3時過ぎに噴火した。島で大規模な噴火が観測されたのは約50年振り。死傷者は報告されていない。
自治体によると、これまでに少なくとも400軒の家屋が破壊され、7,000人近くの島民が避難を余儀なくされたという。
当局は24日、火口の北西部に位置する3つの町(タフヤ、タカンデアバホ、タカンデ・アリバ)を危険地域に追加し、住民に避難を命じた。
クンブレ・ビエハ山から放出された火山灰は高度6,000mに達し、火口の東に位置するラ・パルマ空港の運航に影響を与えている。
島の航空会社ビンタ―は、ラ・パルマ島行きの全ての便の運航を停止した。スペインの航空会社イベリアも同様の措置を取っている。
スペインの複数のメディアは、「溶岩を放出していた火口の近くに新しい火口(亀裂)が出現し、溶岩が大量に流れだした」と報じた。
島の消防署はソーシャルメディアに、「隊員は火山活動の激化に伴い、火口近くの監視地域から撤退した」と投稿した。
スペインのペドロ・サンチェス首相は24日、「政府は来週、ラ・パルマ島を大災害地域に指定する」と述べ、カナリア諸島政府を全力でサポートすると誓った。
スペインのメディアによると、政府はラ・パルマ島の住宅、道路、灌漑(かんがい)網、学校などの公共インフラの再建、および島の観光産業に支援を提供するという。サンチェス首相は支援の予算や規模には触れなかったが、来週の閣議後、詳細を説明すると述べた。
カナリア諸島政府も自宅を失った人々に対する財政支援を発表している。
一方、スペインの国立地理研究所は24日の声明で、「クンブレ・ビエハ山における過去7日間の地震活動は1,100回を超えたが、直近24時間の地震活動はゼロだった」と述べた。
溶岩の噴出量は増加したと考えられているが、西部の市街地を進む溶岩の速度は時速3mまで減速しており、24日に避難を命じられた3つの町の住民は貴重品や家財を運び出すことができたと伝えられている。
溶岩は火口から西に10km以上進み、家屋とインフラを破壊した。地元メディアによると、島の主要産業のひとつであるバナナ農園も被害を受けたという。
ラ・パルマ島の住民は主に農業と観光で生計を立てており、今回の噴火は島の雇用に大きな影響を与えると懸念されている。