目次
歴史
・1700年代
・1800年代
・1900年~第一次世界大戦
・第一次世界大戦~第二次世界大戦
・終戦から現在
基本情報(目次に戻る
国名:ブラジル連邦共和国(Federal Republic of Brazil)
首都:ブラジリア(Brasília)
人口:211,715,973人(2021年推定)
面積:8,515,767㎢(日本の22.5倍)
気候:主に亜熱帯気候(地域によって多少異なる)
・雨季(夏)は11月~4月。
・乾期(冬)は5月~10月。最南端の州では雪も降る。
・夏場の平均気温は地域によって大きく異なる。最も暑い地域の最低は24~26℃、最高は30~40℃以上。
・冬場の平均気温は地域によって大きく異なる。最も寒い地域の最低は0℃以下、最高は10~13℃。
・アマゾンの気温は1年を通して安定している。
・年間降雨量は地域によって大きく異なるが、干ばつ気味のエリアが多い。
・何度も壊滅的な干ばつに直面しており、1877年の大干ばつでは40万~50万人が死亡したと伝えられている。
・アマゾンの熱帯雨林は深刻な環境問題(主に森林伐採と山火事)に直面している。
経済:
・開発途上国
・GDPは1兆8,390億ドル(2019年推定)
・ラテンアメリカ最大の経済規模を誇る。
・深刻な所得格差に悩まされている。
・貧困ライン以下の生活を送っている人は人口の約11%。
・主要産業はサービス業と製造業。
・主要輸出パートナーは中国(22%)、EU(16%)、アメリカ(12%)。
・主要輸入パートナーはEU(21%)、中国(18%)、アメリカ(17%)
・天然資源に恵まれており、貿易黒字が国の成長を大きく支えている。
・サトウキビ、大豆、コーヒー、オレンジ、ガラナ、アサイー、ブラジルナッツの世界最大の輸出国。
・鶏肉の輸出量世界1位。牛肉は2位。豚肉は4位。牛乳は3位。卵は7位。
・世界最大のコーヒー輸出国。世界で消費されているコーヒーの約30%がブラジル産。
人種:
・ヨーロッパ系 47.7%(推定)
・カボクロ、カスティゾ 22.3%
・ムラート、クワドルーン、オクトルーン 20.1%
・黒人 7.6%
・アジア系 1.1%
・先住民族 0.4%
・ジプシー 0.4%
・ユーラシア系 0.3%
・未知の先住民族も存在する。
言語:
・ポルトガル語 99%(公用語)
・英語
・スペイン語
・ドイツ語
・イタリア語
・日本語
・先住民族の様々な言語
宗教:
・ローマカトリック 64.6%(2010年推定)
・プロテスタント 22.2%
・その他のキリスト教 1.1%
・スピリティスト 2.2%
・その他 1.4%
・無宗教 8%
・不明 0.4%
ブラジル連邦共和国
政治(目次に戻る
大統領:ジャイール・ボルソナロ大統領(Jair Bolsonaro)
政治体制:共和制
・国家元首は大統領。任期は4年。
・上院の議員定数は81人。任期は8年で、4年ごとに3分の1または3分の2を選挙で改正する。
・下院の議員定数は513人。任期は4年。
・各州の行政権は州知事と州議会によって行使される。(アメリカとほぼ同じ)
・政治家と公務員の汚職問題に悩まされている。
法律:ブラジル連邦共和国の憲法
・軍事独裁政権時代の失敗を憲法に反映している。(最終改正は1988年)
・1988年の憲法改正により、連邦政府はGDPの約3分の1を占める一部の巨大企業(約650社)に出資できるようになった。
・1988年の憲法改正以来、殺人事件の発生率は増加し続けている。
・1988年の憲法改正以来、所得格差と貧困問題は悪化し続けている。
・投票を義務化している。(主要経済大国の中では唯一)
渡航情報(目次に戻る
渡航情報:
・外務省ホームページ
・注意情報発令中(2021年3月時点)
・コロナウイルス注意情報発令中(2021年3月時点)
治安:かなり悪い
・近年、テロ事件は発生していない。
・イスラム過激派組織や反政府勢力の活動は報告されていない。
・麻薬カルテルや組織とつながりのある個人が各地で活発に活動している。
・殺人事件の発生率は世界トップクラス。
・強殺、強盗、強姦は日常茶飯事。
・流しのタクシーには乗車しないこと。
・犯罪者はほぼ確実に銃を持っており、抵抗すれば高い確率で射殺される。
・スリ、置き引き、引ったくりに注意。
・麻薬カルテルとつながりのある小売店が多く、買い物の際には注意が必要。
・銃を突き付けられたら抵抗せず手持ちの現金は全て渡すこと。よって、パスポートやキャッシュカードは持ち歩かず、金庫などで保管した方がよい。
・治安部隊と犯罪組織(主に麻薬カルテル)の銃撃戦が発生した時は、速やかに避難すること。
マスメディア(目次に戻る
・新聞社は100社以上。
・国営テレビ局は1社。
・民間テレビ局は数百局。
・民間ラジオ局は数百局。
・報道と言論の自由を保障している。
・アメリカに次ぐテレビ大国。
・主要メディア媒体はテレビ。
・インターネット普及率は高い。
・検閲はない。
・ヘジ・グローボは世界第2位の商用テレビネットワークグループ。(1位は米ABC)
【国営メディア/設立年】
・TVブラジル 2007年
【民間メディア】
・ヘジ・グローボ
・RecordTV
・SBT
・その他多数
軍隊(目次に戻る
2021年軍事力ランキング:9位
・軍人数:2,074,500人(推定)
即戦力 334,500人
予備兵 1,340,000人
準軍組織 400,000人
・陸海空軍を保有。
・国防予算:293億ドル(推定)
歴史(目次に戻る
1700年代
・1700年代、ブラジル王国(現在のブラジル連邦共和国)はポルトガルの支配下に置かれていた。
・1700年代初頭、内陸部の鉱山で金が発掘され、ポルトガル人はゴールドラッシュに沸いた。金は主にイギリスなどの諸外国から輸入した工業製品の支払いに使用され、マフラ修道院などの歴史的なモニュメントの建設にも役立てられた。
・1720年代、ディジュコ村周辺でダイヤモンド鉱床が発見され、ポルトガルとヨーロッパ市場はダイヤモンドラッシュに沸いた。その後、ポルトガルはダイヤモンド掘削の権利を入札制度で決めるというヨーロッパ諸国の主張に同意したが、ルールは1771年に廃止された。
・1720年代後半、ポルトガル王国はコーヒーの生産を市民に推奨し、土地の開拓とコーヒー豆の栽培を後押しした。
・1730年代~1770年代、金やダイヤモンドなどの天然資源はブラジルの産業を刺激し、特に港湾都市は大きく発展した。なお、ブラジル王国は貿易を禁止していたが、土地を事実上支配していたポルトガルは天然資源を諸外国に積極的に輸出した。
・1780年、ポルトガル自治政府の転覆を狙う独立運動家たちが全国で活動を活発化させ、混乱は全国に広がった。独立運動に加わった貧しい白人、一部の上流階級の白人、奴隷、先住民族たちは、奴隷制を含むあらゆる抑圧からの解放を求めた。
・ポルトガル自治政府は独立運動に参加した貧しい白人、有色人種労働者、奴隷を見せしめに拷問し、首謀者の遺体を路上にさらした。これにより、革命を訴える多くの市民は自治政府の取り締まりを恐れ、沈黙した。
1800年代
・1808年、ナポレオン軍の侵攻に圧倒されたポルトガル王朝はブラジルに逃亡し、ほぼ全ての政府機関をリオデジャネイロに移転した。
・1810年代、ポルトガル王朝はブラジル王国を支配下に置き、天然資源を独占し、莫大な富を手に入れた。
・1815年、ポルトガル王朝はブラジル王国に一定の自治権と尊厳を与え、全国各地で発生した独立運動を抑えようとした。
・1817年、ペルナンブコ州で大規模な反乱が発生。ポルトガル王朝はこれを力でねじ伏せようとしたが、完全鎮圧まで2か月以上かかった。
・1821年、ポルトガル王朝のジョン6世がポルトガルに帰還。
・1822年1月9日、ブラジル独立戦争勃発。(ブラジル王国vsポルトガル王国)
・1822年9月7日、ブラジル王国がポルトガルからの独立を宣言。
・ブラジル王国はイギリスとフランスの支援を受け、市民、外国人移民、傭兵、そして多くの奴隷で構成された陸軍と海軍を創設した。
・1823年、ブラジル軍は天然資源などを活用することで大きく成長し、人員と物資でポルトガル軍を上回った。一方、ポルトガル軍は防戦一方となり、人員と物資の両方を急速に使い果たした。
・1824年~1825年、ポルトガル軍はブラジル軍を数で上回ったが、土地を知り尽くしている先住民族や奴隷の攻撃に圧倒され、行動エリアを沿岸の主要な都市に限定し、その他のエリアは放棄せざるを得なかった。
1825年5月13日、ブラジル独立戦争終結。両国はリオデジャネイロ条約に調印し、ブラジル王国の独立が公式に認められた。
<ブラジル独立戦争>
・両軍参加者:45,000~50,000人(推定)
・両軍負傷者:数千人(推定)
・両軍死亡者:5,700~6,200人(推定)
・1850年代、コーヒー豆のプランテーションは全国に拡大し、ブラジルのコーヒー輸出量は世界の50%を占めるまでに成長した。なお、コーヒー農家の労働者の大半は奴隷(主に黒人男性)だった。
・1880年代、アマゾンのゴム生産が大きく発展し、ジャングルの小さな村だったマナウスには劇場、政府機関、高級店、学校などが多数建設され、豊かで洗練された都市に成長した。
・1888年、王朝は数十年にわたった続いた奴隷の反乱を抑えるために、奴隷制の廃止を決めた。
・1889年11月15日、軍事クーデター発生。軍のデオドーロダ・フォンセカ将軍は立憲君主制の終了と共和制への移行を宣言した。
・1889年11月16日、国名をブラジル王国から「ブラジル共和国」に変更。フォンセカ将軍が初代大統領に就任した。
・1896年、軍事政権に抵抗する運動が各地で発生し、バイーア州で発生したカヌードス紛争はブラジルの歴史上最大の内戦に発展した。
・1897年、ブラジル軍はバイーア州カヌードスの先住民族の99%を虐殺した。記録によると、住民約25,000人のうち、生き残ったのは150人以下だったという。
1900年~第一次世界大戦
・ブラジルは第一次世界大戦に関わっていない。
・1900年~1910年、全国各地で発生した軍事政権に反対する反乱や抗議は勢いを失った。
・政府は天然資源、コーヒー、ゴムなどを積極的に輸出し、国内の産業やインフラの開発を推し進めた。
・1910年代、ブラジルの経済は右肩上がりで成長したが、一部の者が富を独占したため、貧富の格差の是正を求める抗議活動が各地で発生した。
第一次世界大戦~第二次世界大戦
・1930年、ジェトゥリオ・バルガス将軍が大統領に就任。
・リベラル派のバルガス大統領は、労働者から賃金をむしり取るコーヒー農園の所有者を打倒し、工業化と近代化の促進を訴える中産階級と民間企業に力を与えた。これによりブラジルの中産階級の生活は好転したが、立憲君主制の復活を目指す一部の王族や保守層はバルガス大統領の政策に反対した。
・1930年~1933年、ブラジルの輸出額は世界恐慌の影響で大きく減少した。
・1932年7月、立憲君主制の復活を目指すサンパウロ州の反乱連合軍によるクーデターが発生。政府軍はこれを迎え打った。(立憲革命)
・1932年10月、政府軍はサンパウロ州の反乱連合軍を打倒し、首謀者と関係者をひとり残らず処刑した。
<立憲革命>
・両軍参加者:10万~15万人(推定)
・両軍負傷者:10,000~15,000人(推定)
・両軍死亡者:3,000~5,000人(推定)
・1930年代後半、バルガス大統領はイタリアとドイツのファシスト政府と和解した。
・1938年、ファシスト党による軍事クーデターが発生したが、政府はこれを厳しく取り締まり、首謀者と関係者をひとり残らず処刑した。
・1939年9月、第二次世界大戦勃発。
・第二次世界大戦中、ブラジルは同盟国アメリカと共に部隊をヨーロッパに派遣した。
・1940年、ブラジル軍は大西洋戦線とイタリア戦線で連合軍に加わり、各地で戦果を上げた。
・ブラジル政府は連合軍によるイタリアとナチスドイツの海上封鎖を受け、ファシスト政府との関係を断ち切った。
・1945年9月、第二次世界大戦終結。
終戦~現在
・1945年、国連に加盟。
・1954年8月、バルガス大統領が自殺。カフェ・フィーリョが暫定大統領に就任した。ナショナリズム、工業化、中央集権化を支持したバルガス大統領は「貧しい人々の父」と呼ばれ、低中所得者層に親しまれた。
・1956年、スエズ危機で初の国連平和維持任務に参加した。
・1964年3月31日、軍事クーデター発生。ジョアン・グラール大統領は追放された。
・1964年4月15日、クーデターを主導したウンベルト・デ・アレンカル・カステロ・ブランコ元帥が大統領に就任した。
・1967年、新憲法を公布し、国名をブラジル共和国から「ブラジル連邦共和国」に変更。軍事政権は言論の自由と野党の活動を抑圧し、ナショナリズムと反共産主義を推奨した。
・1969年~1973年、ブラジルのGDP年間成長率は10%近くまで上昇し、爆発的な経済成長は「ブラジルの奇跡」と呼ばれた。
・1970年、サッカー代表チームがFIFAW杯で3回目の優勝を果たす。国民は記録的な経済成長を達成した軍事政権とサッカー代表チームを称えた。
・1979年3月、ジョアン・バプティスタ・デ・オリベイラフィゲイレドが大統領に就任。この時ブラジルの経済は右肩下がりで、市民は拡大する不平等と経済不安に反発する抗議活動を全国各地で展開していた。
・1979年~1980年、オリベイラフィゲイレド大統領は経済の崩壊、慢性的なインフレ、他のラテンアメリカ諸国の軍事政権の崩壊に直面し、追い詰められた。
・1982年11月、約20年ぶりとなる民主的な議会選挙が行われ、民主社会党(PDS)とブラジル民主運動党が議席の80%以上を獲得した。
・1985年、大統領選挙(選挙人投票)。タンクレード・ネーベスが勝利したが、就任宣誓前に病死し、副大統領候補のホセ・サーニーが大統領に就任した。
・1988年、新憲法公布。軍は文民政府の管理下に置かれ、政治との関わりを禁じられた。
・1989年、初の一般投票による大統領選挙。フェルナンド・コロール・デ・メロが約3,500万票を獲得し、大統領に就任した。
・1990年代、ブラジルの経済格差は過去最悪レベルまで悪化し、人口の25%が1日1ドル未満で生活する超貧困層になった。
・2002年、大統領選挙。リベラル派のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバが4度目の立候補で初の勝利を収め、大統領に就任した。シルバ大統領は前政権の経済政策を維持し、社会改革には何年もかかると市民に警告した。
・2002年~2005年、シルバ大統領は最低賃金を大幅に引き上げ、公務員の退職金を大幅に削減する法案を主導した。また、全市民に1日3食を保障するプログラムを推進し、低中所得者層と超貧困層の支持を得た。
・超貧困層の収入は2004年に14%増加した。
・2004年、シルバ大統領は「全市民薬局プログラム」を立ち上げ、最も不利な立場にある人々に医薬品を低価格もしくは無料で提供できるようにした。
・2010年5月、国連世界食糧計画(WFP)は、シルバ大統領に「飢餓との闘いにおける世界チャンピオン」の称号を与えた。
・2010年、大統領選挙。ジルマ・ルセフが初の女性大統領に就任した。
・2013年~2014年、FIFAW杯関連の政府支出をめぐる全国的な抗議運動が発生した。
・2014年、大統領選挙。ルセフ大統領が保守層の追い上げを振り切り、再選。
・2015年~2016年、リオ五輪関連の政府支出をめぐる抗議が発生した。
・2016年8月、ルセフ大統領は国家予算の管理ミスと経済の著しい失速に直面し、弾劾された。(2015年の経済成長率は前年比マイナス20%以上を記録)
・2016年8月、リオ五輪開幕。
・2018年10月、大統領選挙。元陸軍大尉のジャイール・ボルソナロが勝利を収め、リベラル派を困惑させた。
・2019年、アマゾンの熱帯雨林の破壊(山火事と伐採)は過去11年で最悪レベルに達し、ボルソナロ大統領は世界的な非難を浴びた。
・2020年~2021年、ブラジルのコロナ感染者は1,200万人を超え、32万人以上が死亡した。
文化(目次に戻る
・ポルトガル文化とキリスト教の影響を強く受けている。
・多民族文化であり、文書化されていないものが山ほど存在する。
・ポルトガル、アメリカ、イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリア、レバントアラブ(シリアとレバノン)、アルメニア、日本、中国、韓国、ギリシャ、ポーランド、ウクライナ、ロシア、そして先住民族の文化が複雑に組み合わさっている。
・アマゾンには現代文明から取り残された未知の先住民族が複数存在する。
・カーニバルとサッカーをこよなく愛している。
・三度の飯よりカーニバルとサッカーが好き。
・リオのカーニバルは世界最大のお祭り。
・欧米の料理が人気。
スポーツ(目次に戻る
・世界最強のサッカー大国。
・世界最強のバレーボール大国。
・世界を代表するスポーツ大国のひとつ。
・人気スポーツはサッカー、F1、バレーボール、総合格闘技、バスケットボール、テニスなど。個人競技よりグループ競技の人気が高い。
・オリンピックでの獲得メダル数は129個(金:30個、銀:36個、銅:63個)
・冬季オリンピックでメダルを獲得したことはない。
・2016年にオリンピックを主催した。(リオ五輪)
・FIFAW杯優勝5回は世界最多。
【有名スポーツ選手】
・ペレ(Pelé)サッカーの神様。FIFAW杯を3度制した。
・アイルトン・セナ(Ayrton Senna)。世界一有名なF1ドライバー。故人。
・ネイマール(Neymar)サッカー選手。世界を代表する現役選手のひとり。
・ヒクソン・グレイシー(Rickson Gracie)。柔術家。世界を代表する格闘技選手のひとり。
その他(目次に戻る
・ジャイール・ボルソナロ大統領のコロナ対策は破綻し、ブラジルは世界で最も深刻な被害を受けた国のひとつになった。
・ラテンアメリカ最大の経済大国。