◎最大の都市ヤンゴンに集まった抗議者たちは、治安部隊のスタングレネードと催涙ガス攻撃に直面し、大きく後退した。
3月6日、ミャンマーの治安部隊は行動を伴わない国際社会の圧力を嘲笑し、市民を激しく殴打した。国連のミャンマー特使は先日、3月3日の厳しい取り締まりで38人が殺害されたと述べ、国際社会にさらなる行動を呼びかけていたが、治安部隊は市民を警棒で叩きのめし、ゴム弾、催涙ガス弾、そして実弾で打ち負かし続けている。
最大の都市ヤンゴンに集まった抗議者たちは、治安部隊のスタングレネードと催涙ガス攻撃に直面し、大きく後退した。ヤンゴンで3月3日に殺された市民は少なくとも18人と報告されている。
スタングレネードと催涙ガス弾を使った取り締まりは、最南端に位置するカチン州の都市や南東部のダウェイなどでも確認された。
軍のミン・アウン・フライン司令官は2月1日の軍事クーデターでアウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の高官らを拘束し、軍事政権への移行と非常事態を宣言した。それ以来、全国各地で連日抗議活動が実施されており、治安部隊は2月末から取り締まりを一段と強化した。
NLDは2015年の議会選挙で圧倒的勝利を収め、昨年の選挙でも軍の支援を受ける野党に大勝したが、ミン・アウン・フライン司令官はNLDが不正を働いたと主張し続けている。
国連人権高等弁護官事務所は声明で、2月28日の取り締まりで死亡した市民は少なくとも18人、3月3日には38人が残酷に殺害されたと報告した。
ミャンマーの逮捕者を追跡している政治囚人支援協会によると、これまでに少なくとも1,000人以上が逮捕され、そのほとんどが警棒などで打ちのめされ、負傷しているという。
国連のミャンマー特使、クリスティン・シュラナー・バーゲナー氏は、3月5日に開催された安全保障理事会の非公開協議の中で、「安保理の団結と強力な行動は、暴力の阻止と民主主義の回復を推進するうえで欠かせません」と述べた。
クリスティン・シュラナー・バーゲナー氏:
「私たちは軍の暴力を非難しなければなりません。昨年11月の明確な選挙結果を支持するために、安保理は直ちに暴力を停止するよう軍に通知し、市民の側に立っていることを明確に示すことが重要です」
Mourners attend the funeral of Zin Ko Ko Zaw, who was shot dead when police and soldiers attacked protesters in Myingyan, central Myanmar on Wednesday. More than 50 have been killed during crackdowns on unarmed protesters since the Feb. 1 coup, the UN has said. pic.twitter.com/oHw7AnRziZ
— Myanmar Now (@Myanmar_Now_Eng) March 5, 2021
安全保障理事会は5日の協議では行動を起こさなかった。当局者によると、イギリスが提出した大統領声明草案は現在回覧中だという。なお、この決議案が可決されたとしても、声明に法的拘束力はない。
安保理の常任理事国であるロシアと中国は拒否権を行使する可能性が高いため、国連主導の協調行動を実行できる可能性は低いと考えられている。
バーゲナー特使は先日、ミャンマー軍に「国際社会と安全保障理事会は強力な措置を講じる可能性がある」と警告し、「ミャンマーは孤立するだろう」と述べたが、ある程度の効果を期待できる制裁を決めた国は今のところアメリカだけである。
国際赤十字赤新月社連盟は、ミャンマー国内で活動する全ての赤十字ボランティアと医療従事者の即時保護を国際社会に求めた。
治安部隊は3月3日の取り締まりの最中に無抵抗の救急隊員を執拗に殴打し、その映像はソーシャルメディアで広く共有された。
同連盟は声明の中で、「私たちは中立性と公平性の基本原則に基づいて、負傷者に救命救急治療を提供したミャンマー赤十字のボランティアが負傷したことを深く悲しんでいます。赤十字のボランティアは決して標的にされるべきではありません」と述べた。