▽インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
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インドの係争地カシミール地方のパキスタン境界で両国の軍隊が短時間銃撃戦を繰り広げた。インド当局が25日、明らかにした。
インドのジャンムー・カシミール州で観光客が殺害されて以来、両国間の緊張は一気に高まり、紛争に発展する可能性も出ている。
この事件はジャンムー・カシミール州近郊の山岳地帯にある観光地で22日に発生。正体不明の武装集団が観光客に向けて発砲し、26人が死亡、17人が負傷した。
インド政府はこの地域に陸軍を派遣し、容疑者を追跡している。
インド政府は事件を受け、パキスタン国民に発行したすべてのビザを26日に剥奪すると発表。現在インドに滞在しているすべてのパキスタン人はビザが失効する前に出国しなければならない。
パキスタンはインドの外交スタッフの削減、両国間で唯一機能している陸上国境の閉鎖、インド側に水を送っている水共有協定の停止などの対抗措置を発表した。
またパキスタンはインドが所有または運営するすべての航空会社の領空への進入を禁じ、インドとの貿易を停止した。
インドはこの大虐殺にパキスタン政府が関与していると主張。容疑者を「政府の命を受けたテロリスト」と呼んだ。
パキスタン政府は犯行声明を出した抵抗勢力とのつながりを否定している。
現地メディアによると、パキスタン兵は24日遅く、境界のインド側に向けて小火器を発砲したという。インド兵はこれに応戦したとしている。負傷者は出なかったとされる。
パキスタン外務省は25日、この報道について肯定も否定もしなかった。同省の報道官は記者会見で、「コメントを出す前に軍からの正式な報告を待ちたい」と述べた。
また報道官は「他国からの仲介努力はまだない」と付け加えた。
国連は24日、インドとパキスタンに最大限の自制を求めた。
インドとパキスタンはそれぞれカシミールの一部を管理している。この係争地をめぐる領有権争いが解決する目途は立っていない。
カシミールでは24年9月末頃から暴力事件が急増し、多くの市民が爆弾テロや銃撃戦に巻き込まれている。
カシミールの反政府勢力は1989年の武装蜂起以来、中央政府と戦ってきた。カシミールで生活するイスラム教徒の多くがパキスタンへの編入か独立という反政府勢力の目標を支持している。
インドとパキスタンは1947年の独立時、65年、71年の計3回、この境界線を巡って衝突(印パ戦争)している。
インド政府は2019年、「歴史的大失態」の是正として、70年間に渡って認めてきたジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪した。
ジャンムー・カシミール州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派の州であり、ヒンズー政策を推進する政府と何度も対立してきた。
インドは21年、射程5000キロの核搭載可能大陸間弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功。これは長距離地対地弾道ミサイルである。
インドは1947年にイギリスから独立して以来、宿敵パキスタンと3度の戦争を戦ってきた。これらのミサイルはパキスタンの全国土を射程に収めている。
パキスタンも核保有国であり、中長距離ミサイルの開発を進めている。