▽セルビアでは昨年11月から政府与党と駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
セルビアの首都ベオグラードと北部ノビサドで1日、政府与党に抗議するデモが行われ、数万人がシュプレヒコールを上げた。
北部ノビサドでは昨年11月の駅天井崩落事故の発生時刻に合わせて15分間の黙祷が行われた。
現地メディアによると、ノビサドのデモ隊はドナウ川に架かる3つの橋を封鎖したという。
セルビアでは昨年11月から政府与党と駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。
この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月28日、対話に応じるようデモ隊に求め、辞任。ノビサドの市長も同日辞任した。
野党は広範な汚職とずさんな改修計画が事故を招いたとして、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に辞任を要求している。駅の落成式には多くの政府高官が出席していた。
ベオグラードのデモに参加した学生はAP通信の取材に対し、「ブチッチが辞めるまでデモを続けるつもりでいる」と語った。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めている。
ブチッチ氏はデモ隊を「外国勢力」と呼び、公共放送RTSもデモ隊が外国勢力から報酬を得ていると主張。「国家転覆を企てている」と連日放送してきた。
一部の専門家はブチッチ氏の背後にロシアがいると主張。ブチッチ氏はEU加盟を目指しているにもかかわらず、ウクライナ戦争における西側の対ロシア制裁に参加しておらず、中立を維持している。
野党陣営は政府が中国国営企業を優遇して多くのインフラ工事を任せた結果、事故を招いたと主張。数十年間与党の座を守っているセルビア進歩党(SNS)が汚職を常態化させていると非難している。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。