▽この男性は地元メディアの記者で、4か国語を話し、米国のメディアでも働いていたことがある。
ハイチ・ポルトープランスで18日、ギャングに殺害された男性ジャーナリスト(42歳)の葬儀が営まれた。
この事件は昨年12月24日に発生。武装集団が院内で銃を乱射し、ジャーナリスト2人と警察官1人が死亡、ジャーナリスト7人を含む10数人が負傷した。
男性は地元メディアの記者で、4か国語を話し、米国のメディアでも働いていたことがあるという。
葬儀に参列した地元ラジオ局の記者はAP通信の取材に対し、「彼はやさしく、真面目で誠実な男だった」と語った。
葬儀には政府関係者を含む数百人が参列した。
もう1人の男性ジャーナリストの葬儀は16日に営まれた。
この病院は12月24日に患者の受け入れを再開。多くのジャーナリストがその様子を取材するために院内で写真や映像を撮影していた。
政府はこの事件を受け、保健相を解任。病院の受け入れを停止した。保健相はジャーナリストを招き、記者会見を開く予定だった。
しかし、保健相は現場に現れず、武装集団が病院を襲撃。地元メディアによると、国家警察は保健相が病院で記者会見を開くことを知らず、警備も手薄だったという。
保健相が病院を訪れなかった理由は明らかになっていない。
事件後、ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合Viv Ansanmがソーシャルメディアに犯行声明を投稿。「政府が許可なく病院を再開したので攻撃した」と主張した。
ハイチジャーナリスト協会は18日の声明で、この事件を改めて非難し、警察に容疑者を逮捕して裁判にかけるよう求めた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
この結果、70万人以上が住まいを失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。
国連によると、昨年ハイチ全土でギャング紛争に巻き込まれて死亡した市民は確認できているだけで5600人を超え、2200人以上が負傷し、1500人近くが行方不明になっている。
国連支援ミッションを率いるケニアは18日、ポルトープランスに警察官217人を追加派遣したと明らかにした。