▽世界一の大富豪であるマスク氏は欧州の極右政党への支持をますます強めており、特に経済大国ドイツに関心を示している。
トランプ次期政権の閣僚候補であるマスク(Elon Musk)氏が9日、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持するようドイツ国民に呼びかけた。
マスク氏は自身のソーシャルメディアX(旧ツイッター)でAfDのワイデル(Alice Weidel)党首との会話をライブ配信。「AfDを救えるのはドイツだけだ」という以前の主張を繰り返した。
19万人以上のXユーザーがこのチャットを視聴。マスク氏はワイデル氏を「素晴らしいな指導者」「ドイツを動かす有力候補」として紹介し、視聴者にAfDに投票すべきと促した。
またマスク氏は「ドイツを救えるのはAfDだけだ。AfDだけがドイツを救える」と主張した。
世界一の大富豪であるマスク氏は欧州の極右政党への支持をますます強めており、特に経済大国ドイツに関心を示している。
マスク氏は昨年末、日曜紙ヴェルト・アム・ゾンタークの論評でAfDへの支持を改めて表明。AfDを「最後の希望」と評した。
ドイツでは2月23日に連邦議会選挙が行われる。最新の世論調査によると、AfDの支持率は18~21%で推移し、中道右派の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ2位につけている。
マスク氏は昨年11月にショルツ連立政権が崩壊した時、ショルツ(Olaf Scholz)首相を「コメディアン」「愚か者」と呼んだ。
マスク氏はチャットの中で、反移民・反イスラム政党であるAfDへの支持をさらに強めた。「私はあなたの政策を完全に支持しています...」
ワイデル氏はマスク氏を称賛し、自身が推進する政策を改めて紹介。「私の提案は特に目新しいものではなく、それを間違いという人たちは自分と異なる意見の人をつぶそうとする差別主義者だ」と非難した
2人はドイツが「狂った」エネルギー政策、過剰な官僚主義、無秩序な移民政策を推進しているという点で完全に一致し、AfDに対するメディアの扱いを、1930年代のナチスによるユダヤ教徒への扱いになぞらえた。
マスク氏は「愚かな人たちは自分が同意しないものを検閲するのが大好きです」と言い、ワイデル氏はウンウンとうなずいだ。
AfDは2013年に発足した極右政党で、過去の党首は過激な政策を掲げ、情報機関の監視対象になっている。2014~15年のシリア難民危機時には移民に対する批判を利用して支持を集め、2017年に連邦議会に進出した。
AfDの支持率は堅調に推移しているが、他政党はAfDとの連携を拒否しているため、ワイデル氏が首相に就任する可能性は低い。