◎国連は犠牲者の親族や目撃者などの証言から犠牲者の数を割り出したとしている。
国連は23日、ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首都ポルトープランスで多くの市民が虐殺されていると非難し、当局に対し、容疑者を裁判にかけるよう要請した。
国連ハイチ事務所は23日に公表したレポートの中で、「12月6~11日の間に少なくとも207人がスラム街に拠点を置くギャングによって殺害もしくは処刑された」と明らかにした。
それによると、一味は人々を家や礼拝所から連れ出し、尋問後、ナタや銃で処刑したという。
国連は犠牲者の親族や目撃者などの証言から犠牲者の数を割り出したとしている。
地元の人権団体は今月初め、この虐殺により100人以上が殺されたと推定していた。
国連ハイチ事務総は声明で、「見て見ぬふりはできない」と強調した。
それによると、この虐殺はギャングのリーダーとされる男の息子が病死した後に始まったという。
ギャングのリーダーは地区の住民が息子に魔術をかけ、殺害したと主張しているようだ。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は10月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
ポルトープランスの虐殺でも逮捕者は出ておらず、国家警察と国連支援ミッションを率いるケニア警察もコメントを出していない。
国連によると、ギャングのリーダーは仲間に対し、魔術を使った者を特定し、自身にかけられた呪いを解く方法を聞き出すよう命じたとされる。
ギャングは住宅や礼拝所などを襲い、標的を誘拐。尋問後、処刑場に連行して銃殺したり、刃物で切り殺したという。
国連はレポートの中で、「一味は遺体を燃やしたり、バラバラにして海に捨てたりして、証拠を消そうとした」と非難した。