◎エルサルバドルの中絶禁止法は世界で最も厳しいといわれ、レイプ、近親相姦、命にかかわる病気で出産が不可能になった場合も中絶を禁じている。
2021年8月13日/エルサルバドル、首都サンサルバドル、中絶禁止法に反対する女性たち(AP通信)

米州人権裁判所は20日、人工妊娠中絶を全面的に禁止している中米エルサルバドルの女性の権利が侵害されたとして、同政府の責任を認めた。

判事は原告団の訴えを認め、政府が健康問題を抱えた女性の権利を侵害していると裁定した。

また判事はエルサルバドルの「官僚化された刑法」が女性の命を危険にさらしていると非難した。

原告団は2013年に出産を余儀なくされた女性の権利が著しく侵害されたとして、地方裁判所に訴えを起こした。

この女性は疾患を抱え、妊娠初期に中絶を希望したが拒否された。胎児は出産後数時間で死亡した。

この女性は2017年、交通事故による他界した。

エルサルバドル政府は医療チームが女性と胎児の命を守るために最善を尽くしたと主張していた。

エルサルバドルの中絶禁止法は世界で最も厳しいといわれ、レイプ、近親相姦、命にかかわる病気で出産が不可能になった場合も中絶を禁じている。

人権団体は法律の一部を改正し、レイプ、近親相姦、命にかかわる病気で出産が不可能になった場合などは中絶を認めるよう議会に何度も請願しているが、すべて却下されている。

人権団体によると、この20年間で200人近くの女性が中絶により逮捕・起訴され、うち少なくとも10人が「殺人罪」で長期刑を言い渡されている。

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