ペロシ下院議長、動く

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は下院に対し、米国郵政公社(USPS)保護法案を通過させると明言。大至急、会期に戻るよう要請した。

8月16日に公開された文書によると、ペロシ下院議長はトランプ大統領が推し進める「郵送投票ボイコットキャンペーン」を強く非難した。

USPSは、現在の人員体制と各州の選挙法に問題があると指摘。数百万票の郵送票が11月3日の開票日までに郵送できず、無効票になる可能性があると警告した。

この発言を受け一部の専門家たちは、トランプ大統領の忠実なる下僕であるUSPS幹部の「郵送できませんキャンペーン」を非難した。

今年の米大統領選挙は、コロナウイルス感染拡大の影響で、かつてない数の有権者が郵送投票を利用すると予想されている。

トランプ大統領は、郵送投票が不正と詐欺につながると主張。また、ライバルのジョー・バイデン氏を後押しするだろう、と繰り返し述べている。

しかし、アメリカの選挙システムに精通する専門家たちは、「アメリカ国内で実施された郵送投票に問題点は見当たらず、大統領のいう不正と詐欺につながる可能性は皆無といってよい」と主張している。

米下院議長のペロシ女史は、USPS新総裁「ルイ・デジョイ氏」の計画を非難した。

ペロシ下院議長は記者団に対し、「USPSの計画は明らかにトランプ大統領を意識したものである。彼らはアメリカの郵送サービスを低下させ、無理やり配送期間を長くしたいと考えている。トランプ大統領はUSPSの予算をブロックし、新総裁はそれを嬉々として受け入れた

「コロナウイルスが蔓延している今、郵送投票という素晴らしい手段があるにも関わらず、トランプ大統領と共和党、そしてUSPSは直接投票しろと言いたいらしい。アメリカ国民の命と生活は、現職の大統領によって脅かされている」と語った。

ペロシ下院議長は下院に対し新しい法案を提出、可決し、「USPSが年初に発表した組織の運営方法やサービスを変更できないようにする」と述べた。なお、大統領選の郵送投票開始日はまだ発表されていない。

下院で過半数を占める民主党は、8月24日開催の下院監視改革委員会、「緊急公聴会」にUSPSのデジョイ氏とその他幹部を召喚すべく、準備を進めている。

バラク・オバマ前大統領は、トランプ大統領の「郵送投票ボイコットキャンペーン」について、「彼は郵送投票を封じ込めるために予算をブロックした。国民の命より大事なものはなく、USPSと郵便投票への攻撃は決して許されない」と厳しく非難した。

トランプ大統領はお膝元のフォックスニュースの取材に応じた際、「郵送投票に反対しているため、財政難に苦しむUSPSへの予算をブロックし、直接投票を後押しする」と述べている。

さらにトランプ大統領は、「USPSは財政難を立て直すことに注力しなければならない。郵送投票のためだけに貴重な予算を使うなどあってはならない

「今、私がUSPSへの予算をカットすると決定すれば、彼らはお金を得られない。つまり、誰もが万能と言う郵送投票は、追加予算がなければ実行できない程度のものなのだ。予算が欲しければ、それなりの仕事をしてもらわねば困る」と付け加えた。

ペロシ下院議長、郵政公社をバックアップ

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USPSの予算

8月15日、トランプ大統領は、郵送投票を大統領選挙で採用すれば、「我々は世間(世界)の笑い者になるだろう」と述べた。

シンガーソングライターのテイラー・スウィフト氏は、「USPSが解体されれば、皆の望む郵送投票は消える」とトランプ大統領攻撃部隊に加わった。

登録済みの全有権者に郵送投票用紙を送る」と発表した州は少しずつ増えている。採用した州の有権者は、届いた郵送投票用紙に候補者の名前を書き、決められた期間内に投函すればよい。

全有権者向けの郵送投票配布を採用しない州においては、これまで通り、「有権者本人が郵送投票用紙を管理委員会に要求」しなければならない。

トランプ大統領はホワイトハウスの定例会見の中で、これまで通りの郵送投票システムであれば問題ないと述べた。

しかし、「全有権者に対する郵送投票は破滅的な結果を招くだろう。数百万票の郵送票が宙ぶらりんになる様子をイメージしてほしい。世界がアメリカを馬鹿にするだろう」と付け加え、改めて郵送投票の危険性を主張した。

トランプ大統領は記者の質問に対し、郵送投票の問題点を分かりやすく説明した。

「ひとつ目は、いつ選挙が終わるか分からない点である。そもそも、有権者の郵送した票が開票日当日に届かないなどあり得ない。数百万票の投票用紙が消えた選挙など聞いたことがないし、民主主義の道理に反する」

「ふたつ目は、民主党がUSPSの資金調達に合意しなかったせいだ。USPSは組織を運営するための予算を必要としている。しかし、民主党は我々が提示した予算に合意しなかった。残念だが、USPSはお金を得られない。もちろん、郵送投票を行うこともできないだろう」

USPSは厳しい財政難に陥っており、約1,600億ドル(17兆円)の負債を抱えている。

7月、USPSは全米の各州に警告文を送付。それには、「全ての郵送投票用紙を、開票日当日(11月3日)までに配送できる保証はない」と記されていた。

NBCニュースによると、現時点で少なくとも15の州が警告文を受理したという。

一部の専門家は、USPSのデジョイ新総裁が残業時間の制限や遅延配達の停止などを決めたことで、郵便物の配送期間が長くなった、と指摘した。

ただし、財政難に苦しむUSPSが何らかの形でコストをカットすることは当然であり、特に人件費削減を厳しく行っていることは評価できる、という意見もある。

ペロシ下院議長とチャック・シューマー上院総務は、トランプ大統領のUSPSに対する姿勢を強く非難し、「国民の命を危険にさらす妨害作戦」と述べた。

バイデン氏は一連の騒動について8月14日にツイートした。

「私たちは全国の有権者が安心して投票できる環境を整える。今、最も警戒すべきはコロナウイルス。そして、アメリカが絶対に守らなければならないものは国民の命である。これ以上に大切なものはない」

テイラー・スウィフト氏はツイッターで、「郵送投票用紙を早めにリクエストして下さい。そして、早めに投票して下さい」と呼びかけ、数十万件のいいねを獲得した。

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