◎ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。
パキスタン、ポリオワクチン接種を受ける小学生(Getty Images)

パキスタンで今年3月以来、ポリオの新規患者が急増している。

保健省は9日、この半年間で新たに32人のポリオ感染が報告されたと明らかにした。

同省は先月、全国ポリオ予防接種キャンペーンを開始。約3200万人の子供にワクチンを接種する予定だ。

保健省の担当官はAP通信の取材に対し、「状況は今後数カ月で改善するだろう」と語った。

また担当官は「関係機関が連携して濃厚接触者をチェックしたり、経口ワクチン接種を円滑に実施する準備を整え、リスクの高い地域から接種を進めている」と述べた。

ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、5歳以下の児童がかかることが多く、麻痺などを引き起こし、死に至ることもある。

死亡率はワクチン未接種の小児で2~5%、成人は15~30%、特に妊婦は重症化リスクが高い傾向にある。

パキスタンとアフガンは世界で唯一、ポリオを根絶できていない。パキスタンの予防接種キャンペーンは定期的に暴力に見舞われている。

パキスタンのイスラム過激派や武装勢力は米CIA(中央情報局)が国際テロ組織アルカイダの創設者ビンラディン(Osama bin Laden)を追跡する際に偽のワクチン接種活動を行ったことで、ポリオワクチンを敵視するようになった。

過激派はワクチンを「西洋の陰謀」「イスラム教徒を不妊化するウイルス」などと呼び、医療従事者らを標的にしている。

パキスタン政府は医療従事者に対する暴力事件が続く中、ワクチン接種を推進してきた。

保健省によると、今回感染した32人のほとんどがアフガンと国境を接する北西部カイバル・パクトゥンクワ州と南西部バルチスタン州で確認された。

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