◎クリアカンは先週初め頃からマヒ状態に陥っている。
メキシコ北西部シナロア州クリアカンで世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルによる派閥間抗争が激化し、この2週間で少なくとも30人が死亡した。政府と自治体が17日、明らかにした。
国防省によると、この抗争は今月9日頃から始まったという。
政府はこの地域に2000人以上の治安要員を派遣。この抗争に巻き込まれ、陸軍兵士2人が死亡した。
シナロア州では7月下旬に米国でシナロア・カルテルの幹部2人が逮捕されて以来、派閥間の争いが続いている。このうち1人は麻薬王「エル・チャポ」ことグスマン(Joaquin Guzman)受刑者の息子である。
地元メディアによると、シナロア・カルテル内では現在、グスマンの息子に忠誠を誓う勢力と、同じく7月に逮捕された幹部に忠誠を誓う勢力による権力争いが起きているという。
クリアカンではカルテル戦闘員が道路脇にIED(即席爆発装置)や地雷を設置し、郊外の集落には塹壕が掘られ、機関銃を搭載した自家製装甲車や爆弾を投下するドローンも登場している。
クリアカンは先週初め頃からマヒ状態に陥っている。市内の学校はすべて閉鎖、企業も営業を自粛し、銃撃戦に巻き込まれることを恐れ、多くの市民が街を離れた。バスやタクシーもほとんど運行していない。
シナロア州政府によると、治安強化のため同州に派遣された陸軍兵士と州兵は2200人にのぼり、状況によっては増派もあり得るという。
この2週間で死亡が確認された30人はシナロアの関係者とみられるが、身元は明らかにされていない。市近郊の路上では17日、頭部のない2人の遺体が見つかった。