◎ニジェールは世界で最も貧しい国のひとつであり、クーデターが発生する前の時点で、国際パートナーの支援が国家予算の4割を占めていた。
ニジェール、首都ニアメの通り(AP通信)

西アフリカ・ニジェールで軍事クーデターが発生してからまもなく1年となる。

軍指導部は1年前民主的な選挙で選出されたバズム(Mohamed Bazoum)大統領を追放し、政権を掌握。イスラム過激派との戦いに勝利すると誓ったが、治安は回復するどころか悪化している。

ニジェールは世界で最も貧しい国のひとつであり、クーデターが発生する前の時点で、国際パートナーの支援が国家予算の4割を占めていた。

欧米諸国はクーデターを受け、同国への支援を停止。近隣諸国との関係も悪化した。

国際社会の制裁により、同国の経済は劇的に悪化。イスラム過激派を一掃するという軍指導部の計画も機能不全に陥っている。

軍政は今年5月、2012年に結んだ米国との軍事協定を打ち切ると一方的に発表。米国防総省は9月中旬までにニジェールから部隊を完全撤退させる予定だ。

ニジェールはクーデター前、この地域で国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦う西側諸国の最重要パートナーであった。

軍政はこの地域の旧宗主国であるフランスにも部隊の撤退を命じた。同部隊はすでに撤退している。

近隣諸国との関係悪化も経済に暗い影を落としている。

軍政は4億ドルの契約に基づき、中国に石油を輸出する予定である。中国資本の企業が建設した全長1930キロのパイプラインはニジェールの油田とベナンの港を結んでいる。

しかし、ベナン政府は今年5月、ニジェールがベナンからの輸入を再開し、関係を正常化しない限り、港の利用を許可しないと表明。軍政はこれに猛反発したが、問題が解決する目途は立っていない。

EUをはじめとする国際パートナーからの支援はニジェールの国家予算の40%近くを占めていた。首都ニアメに住む男性はAP通信の取材に対し、「クーデターの代償はあまりにも大きかった」と語った。

クーデター発生直後、ニアメ市内では何千人もの若者が軍に声援を送った。

現地メディアによると、それ以来、軍政への不満は高まり続けているものの、公の場で軍政に抗議するデモは一度も行われていないという。

軍事法廷は今年5月、バズム氏の免責を解除。これにより、同氏は「大逆罪」で起訴されることが確実となった。

大逆罪で有罪が確定した場合、銃殺刑に処される可能性がある。

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