◎最新の世論調査によると、回答者の90%以上がブケレ大統領のギャング掃討作戦を支持。与党・新思想党の支持率は90%に迫る勢いである。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は16日、中米エルサルバドルのブケレ政権が2年半にわたるギャング掃討作戦の一環として、3319人の未成年者を逮捕し、うち579人が実刑判決を受けたと明らかにした。
それによると、逮捕・勾留された未成年者は非人道的な環境に置かれ、時には成人と同じ施設に収容されることもあったという。
HRWはレポートの中で、「当局は未成年者の食事、健康、家族と面会する権利を保障せず、その一部は刑務所内で暴行や性的虐待を受けた」と非難した。
拘束された3319人のうち、今年1月時点で841人の未成年者が勾留されたままとなっている。
先月2期目をスタートさせたブケレ(Nayib Bukele)大統領は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。
それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万1000人を超え、うち約7000人は証拠不十分で釈放されている。
非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。
また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
国会はこの非常事態令を20回以上延長している。
HRWは有罪判決を受けた未成年者の多くが「乱暴な司法取引と、時には虐待や拷問の組み合わせによって、自白を強要された」と報告している。
さらに、一部の未成年はギャングに加担したとして禁固10~20年を言い渡されたという。
首都サンサルバドルに拠点を置く人権団体は今月初め、過去2年半の取り締まりで逮捕されたギャング少なくとも261人が刑務所内で死亡したと報告した。
それによると、今年4月の時点で、死亡した261人のうち88人が別の受刑者に殺害された可能性があるという。それ以上の詳細は分からないとしている。
政府はこの取り締まりで大量の人権侵害を行ったと非難されているが、国民の大多数はブケレ氏の政策を支持しているようだ。
この凄まじい掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国のひとつから、中米で最も安全な国に豹変。昨年確認された殺人事件は214件で、2015年に記録した6656件の30分の1に激減した。