◎フィツォ首相は先月15日、中部ハンドロバの市庁舎前で腹部を撃たれ、バンスカービストリツァの病院に緊急搬送された。
腹部を撃たれて重傷を負ったスロバキアのフィツォ(Robert Fico)首相が5日、3週間ぶりに姿を見せ、「ウクライナ寄りの立場を示さなかったため、主要派を支持する市民に狙われた」という見方を示した。
フィツォ氏はSNSにビデオメッセージを投稿。「加害者は罪に問われるが、私は彼を恨んでいない」と強調した。
フィツォ氏は先月15日、中部ハンドロバの市庁舎前で腹部を撃たれ、バンスカービストリツァの病院に緊急搬送された。
警察は容疑者の男を現行犯逮捕しているが、身元と認否は明らかにしていない。
検察は男を殺人未遂罪で起訴している。
警察は当初、男が単独で事件を起こしたという見方を示していたが、その後、「第三者が政治的な理由で関与した可能性がある」と明らかにした。
フィツォ氏は1カ月以内に公務に復帰するとしたうえで、「加害者への憎しみは感じておらず、賠償などを求めるつもりもない」と述べた。
またフィツォ氏は親欧米派の野党を非難し、こう強調した。「彼は主流派以外は受け入れないという野党の主張に感化され、銃を手に取ってしまったのです...」
フィツォ氏の与党・スメルは昨年9月の議会選(一院制、定数150)で第1党に躍進。フィツォ氏を党首とする連立政権が発足した。
フィツォ氏はウクライナ支援を停止するなど、EUの親欧米派に反旗を翻し、ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相と共にロシア寄りの姿勢を取っている。
フィツォ氏はEUの主流派と異なる政治姿勢を示した結果、銃撃されたという見方を示し、「EUでは異なる意見を持つ権利が侵害されている」と主張。国名には言及せずに西側諸国を非難した。