◎フィツォ政権はウクライナ支援を停止するなど、EUの親欧米派に反旗を翻し、ハンガリーのオルバン首相と共にロシア寄りの姿勢を示している。
スロバキアの首都プラチスラバで2日、公共放送RTVSを再編成する政府与党の法案に抗議する集会が開かれ、数千人が参加した。
フィツォ政権は先月この法案を閣議決定。国会は来月中に可決する見込みである。
フィツォ(Robert Fico)首相はRTVSが政治的に偏っており、政府与党を敵視していると主張。体制の見直しが必要であると訴えてきた。
改正案によると、組織改正後のRTVSの最終決裁権を持つ評議会の委員9人は政府が選出する。評議会は番組ディレクターを選出し、理由を示さずに解任できる権限を持つ。
チャプトバ(Zuzana Čaputová)大統領、地元のジャーナリスト、野党、国際メディア組織、EUの執行機関である欧州委員会はこの法案を批判している。
改正案を起草したのは偽情報を流すことで知られる地元のインターネットテレビ局に勤務したことがあるマルティナ(Martina Šimkovičová)文科相だ。
首相府の報道官はSNSに声明を投稿。「デモ隊はRTVSが組織改正後も民主主義、法の支配、自由を守る公共放送であり続けることを理解していない」と書き込んだ。
しかし、デモ隊はこれを「乗っ取り計画」と呼び、RTVSが政府に批判的な内容を報道できなくなると主張している。
ジャーナリストに対する暴言で知られるフィツォ氏は先週、欧米の主要メディア、全国紙2紙、その他の民間独立系ニュースサイトを糾弾し、国民に対し、「これらの敵対勢力が発信する偽情報に騙されるな」と主張していた。
フィツォ政権はウクライナ支援を停止するなど、EUの親欧米派に反旗を翻し、ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相と共にロシア寄りの姿勢を示している。