◎首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ギャングの支配下に置かれる中米ハイチ・ポルトープランスの医療システムが崩壊寸前だ。
スラム街にある国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が運営する病院では痙攣を治療するための薬が不足している。
この病院でボランティアとして働く医師はAP通信の取材に対し、「人々が必要としている薬はほとんどない」と語った。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
市内にある病院でまともに運営できている病院はひとつもない。市内の港と空港は閉鎖され、コンテナを運び込めずにいる。
首相府や国会のある中心部以外はほとんどギャングの支配下にあり、各地に検問所が設置されている。
ハイチの医療システムはギャング間抗争が始まる前から国連などの支援を受け、何とか機能していたため、今や崩壊寸前だ。
国内最大の公立病院を含む主要医療機関は軒並み閉鎖に追い込まれた。
ダウンタウンにある国立大学病院は2月末に閉鎖。4月1日に再開する予定だったが、ギャングに占領された。
まだ営業している数少ない病院のひとつが国際空港の南方にある大学病院だ。2月29日~4月15日まで、同病院は200人ほどの銃創患者を治療、ベッドは満床のままである。