◎両国の関係はエクアドル警察が先週、在メキシコ大使館を襲撃し、政治亡命を求めていたグラス元副大統領を逮捕したことを受け、破綻した。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は11日、国連に対し、エクアドルを同組織から追放するよう求めていると明らかにした。
両国の関係はエクアドル警察が先週、在メキシコ大使館を襲撃し、政治亡命を求めていたグラス(Jorge Glas)元副大統領を逮捕したことを受け、破綻した。
メキシコ政府は11日、国際司法裁判所(ICJ)に訴状を提出。在外公館への侵入を「言語道断」「とんでもない蛮行」と糾弾した。
オブラドール氏は定例会見でエクアドルを非難し、「国連憲章に基づき追放すべきであり、安保理にそれを拒否する権限はない」と主張した。
しかし、国連報道官は「資格を停止すべきかどうかを決めるのはメキシコ政府ではない」と強調した。
オブラドール氏によると、メキシコ政府はエクアドルに対し、在外公館への「電撃戦」の公式謝罪と損害賠償、そして二度とこのようなことをしないと約束するよう要求しているという。
エクアドル外務省は警察の行動を擁護し、「現時点で謝罪するつもりはない」と述べている。
米州機構(OAS)のエクアドル代表は9日、米ワシントンD.C.の会合で「グラス氏はメキシコに亡命する条件を満たしておらず、今回の摘発は政治的迫害であるというメキシコの主張は誤りである」と語った。
しかし、OAS代表は在外公館への侵入を非難したうえで、「武力行使、外交使節団への攻撃、亡命者の拘束は平和的解決への道ではない」と指摘。「エクアドルの行為が前例となることは許されない」と強調した。
グラス氏は昨年12月、汚職容疑で逮捕状が出たことを受け、在メキシコ大使館に逃げ込んだ。申請していた政治亡命は4月5日に認められた。
グラス氏は2016年の大地震後の復旧・復興活動を主導した際、複数の汚職に関与したとされ、他の贈収賄事件でも有罪判決を受けている。