◎ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は3万2000人近くに達し、今も増え続けている。
イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は20日、パレスチナ・ガザ地区南部ラファへの地上侵攻なくして完全勝利はないという見方を示し、国際社会の懸念を一蹴した。
ネタニヤフ氏は声明で、「イスラム組織ハマスを一掃するという目標を達成できるどうかはラファへの攻撃にかかっている」と述べた。
またネタニヤフ氏は「ハマスに完全勝利するという目標は微塵も揺るがない」と強調した。
戦時内閣はラファへの地上侵攻を閣議決定している。
ラファに身を寄せる市民は150万人と推定されている。そこで戦闘が激化すれば数十万人が巻き込まれ、壊滅的な人道危機に発展する恐れがある。
米国を含むイスラエルの同盟国は侵攻より民間人の保護を優先するよう求めている。
国連によると、ラファの避難民の大半が屋外のテントキャンプやボロボロの集合住宅などに身を寄せている。
ネタニヤフ政権はワシントンD.C.に代表団を送り、バイデン政権にその計画を提示、承認するよう求める予定だ。
イスラエル紙ハーレツは政府関係者の話しとして、「米当局の要求をある程度考慮したうえで、ラファへの本格侵攻を開始する可能性が高い」と報じている。
ネタニヤフ氏はハマスの軍事力を根こそぎ除去することを目標のひとつにかかげている。
それによると、イスラエル軍はこれまでの戦闘でハマスが保有する24個大隊のうち18個を解体したという。
ラファにはハマスの最後の拠点があるとされ、少なくとも4個大隊が地下などに潜伏しているとみられる。
イスラエルはこれを解体する必要があるとして、戦車を含む数千人規模の部隊をラファに送る計画を立てているものとみられる。
米政府はイスラエルに対し、民間人を避難させる信頼できる計画なしに作戦を実行しないよう求めている。
停戦交渉を仲介するエジプトもラファへの攻撃をやめるよう要請。そこに攻め込み、パレスチナ人をエジプトに押し込むような事態になれば、和平合意の破棄もあり得ると示唆している。
ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は20日、ガザ紛争開戦以来6回目となる中東歴訪を開始。サウジを訪問し、高官らと会談した。
ブリンケン氏は20日遅くにサルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)と会談。ガザ紛争などについて協議する予定だ。
ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は3万2000人近くに達し、今も増え続けている。