◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ギャングの暴力に圧倒される中米ハイチで多くの政府機関や援助機関が標的になっている。現地メディアが17日に報じた。
それによると、複数の施設に保管されていた食料や医療物資が略奪されたという。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ギャングはこの数週間、全国各地で猛威を振るい、政府機関を襲撃し、国際空港を閉鎖に追い込んだ。
この影響で数十万人が飢餓に直面。その一部は隣国ドミニカに逃れ、米国を目指す移民の列に加わった。
ユニセフは16日の声明で、「妊産婦、新生児、幼児の生存に欠かせない医療物資などが入ったコンテナの1つが、ギャングに乗っ取られたポルトープランスの港で略奪された」と明らかにした。
ユニセフはこの略奪に怒りを表明。「最も脆弱な人々のために用意した物資を略奪するなど言語道断。恥を知るべきだ」と断じた。
国連によると、これらの略奪行為で最も弱い立場の人々が基本的な物資をさらに入手しにくくなり、飢餓のリスクが急激に高まっているという。
グアテマラ外務省は同日、在ハイチ領事館が何者かの攻撃を受けたと発表。被害や略奪の有無は明らかにしていない。