◎物資が落ちた場所に数百人が殺到し、食料を奪い合った。
パレスチナ・ガザ地区の保健当局は8日、人道支援物資の空中投下により子供5人が死亡したと発表した。
ガザの政府系メディアは8日の投下を「無差別空爆」と呼び、非難している。
ソーシャルメディアで共有された動画には航空機が何十個もの荷物をパラシュート投下し、それに向かって走る群集の姿が映っていた。
イスラエルは米国、フランス、エジプト、ヨルダン、UAE(アラブ首長国連邦)などと連携してガザへの空輸を進めている。
米国防総省のライダー(Pat Ryder)報道官は記者会見で、「死傷者が出たとされる8日の投下は米軍によるものではないと理解している」と述べた。
それによると、米軍はガザ北部で8日に投下を行ったものの、死傷者は出なかったという。
ライダー氏はガザの地元メディアが米軍の投下で死傷者が出たと報じたことについて、「誤りである」と断言した。
ガザの保健当局は投下で亡くなったとされる子供5人の死因を明らかにしていない。
ガザの政府系メディアは投下を「役立たず」と非難する一方、ガザへの陸路による支援を拡充するよう求めた。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)も物資の空中投下に懸念を表明。「極めて危険」と指摘している。
カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは目撃者の話しとして、「物資が落ちた場所に数百人が殺到し、食料を奪い合った」と伝えている。「まさに無法地帯です...」
UNRWAの担当官は地元メディアの取材の中で、「空中投下はとてもドラマチックに見えるが、莫大な費用がかかり、非効率的で、極めて危険である」と語った。「浜辺に落下した食料に数千人が殺到する様子を想像してください...」
米軍はガザの沿岸に臨時の港を建設し、海路で人道支援を輸送する予定だ。港と海岸に物資を運ぶ桟橋の設置には数週間かかるとみられる。