◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
危機的状況にある中米ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相が29日、国連PKOを率いる予定である東アフリカ・ケニアに到着した。
ケニア政府は昨年10月、国連安全保障理事会公認のPKOを率いることで合意した。
しかし、ケニアの高等裁判所は先月末、「安保理の決定に基づきハイチにケニアの警察官を派遣することは違憲である」と裁定。この裁判は現在、最高裁で争われている。
ルト政権はハイチに警察官約1000人を派遣するとしている。
ハイチ首相府は声明で、「アンリ首相はルト(William Ruto)大統領の招きで首都ナイロビを訪問し、両国間の合意について再確認する」と明らかにした。
この合意が最高裁の判決に影響を与えるかどうかは不明である。
現地メディアによると、アンリ氏とルト氏はナイロビの大統領府で会談したという。
ルト氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「ケニアはハイチのPKOミッションに警察の経験と専門知識を提供する」と書き込んだ。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ギャング間抗争で昨年死亡した市民は約8400人。数千人が誘拐されたと推定されている。
ポルトープランスの70~80%はギャングの支配下に置かれたとされ、31万人以上が住まいを失い、ホームレスになった。
カリブ海諸国の首脳は27日、アンリ氏が2025年半ばまでに総選挙を実施することで合意したと発表した。
アンリ氏は治安悪化を理由に何度も選挙を延期している。大統領は今も空席のままだ。