◎ゲレロ州に派遣されている陸軍兵士の数は全国最多。それでも、カルテル・ギャング抗争が収束する見通しは立っていない。
メキシコ南部ゲレロ州チルパンシンゴで正体不明の武装集団が4人のバス・タクシー運転を処刑した。地元当局が5日、明らかにした。
ゲレロ州の支配権を争う麻薬組織ファミリア・ミチョアカーナと複数のギャングは「みかじめ料」を支払わない公共交通機関の職員やタクシー運転を処刑することで知られている。
ゲレロ州のリゾート地アカプルコでは最近、タクシー運転手のバラバラ遺体が見つかったことに抗議するストライキが行われている。
ゲレロ州検察によると、4人のバス・タクシー運転手の遺体は5日に発見されたという。警察が陸軍と州兵の支援を受け、捜査に当たっている。
検察は死亡した4人のうち少なくとも2人が個人経営のタクシー運転手とみられると報告している。4人の身体には至近距離から数十発撃たれた跡が残されていた。
ファミリア・ミチョアカーナは支配地域のタクシー運転手からみかじめ料を徴収している。その多くがカルテルの支配にウンザリしているが、「家族も殺す」と脅され、しぶしぶ従っているようだ。
地元メディアによると、ゲレロ州に派遣されている陸軍兵士の数は全国最多。それでも、カルテル・ギャング抗争が収束する見通しは立っていない。
アカプルコを含む州内の観光地では先月下旬、カルテルの暴力に抗議するバス・タクシー運転手数百人がストライキを決行した。
その結果、多くの観光客が移動手段を失い、パトカーがタクシーの代わりに後部座席に人を乗せる事態となった。
アカプルコの商工会議所は先月初め、カルテル・ギャングの脅迫と攻撃により、市内のタクシーの約90%が営業を自粛していると報告していた。
アカプルコはメキシコを代表する人気観光地のひとつだったものの、数年前からカルテルとギャング関連の抗争が続発し、観光業が壊滅的な被害を受けた。
アカプルコに拠点を置く主要な武装ギャングは世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の傘下組織と伝えられているが、詳細は不明である。