◎中東ではいくつかの問題が重なり、緊張が高まっている。
イスラム過激派組織の戦闘員(Getty Images)

パキスタンとイランが外交関係を回復することで合意した。現地メディアが19日に報じた。

パキスタン首相府によると、両国は駐大使をそれぞれの首都に戻すことに合意したという。

イランの革命防衛隊(IRGC)は16日、パキスタン南西部バルチスタン州のイスラム国(ISIS)系組織の拠点を空爆。この空爆で子供2人が死亡、3人が負傷した。

核保有国のパキスタンはこれに激怒し、イラン領内の過激派拠点を報復空爆。一触即発の事態となり、両国は駐大使を帰国させていた。

報道によると、両大使は協議の末、それぞれのポストに戻る予定だという。

イラン当局によると、パキスタン軍による18日の空爆で子供4人を含む9人が死亡したという。

国営イラン通信(IRNA)は駐パキスタン・イラン大使が首都イスラマバードに戻るというパキスタン首相府の声明に反応しておらず、コメントも出していない。

パキスタン首相府によると、両国の外相は19日の電話会談を行ったという。パキスタンは過激派を含むあらゆる問題について、イラン側と協力する意思を表明した。

また両外相は緊張を緩和することでも合意。駐大使の帰任について話し合ったという。

中東ではいくつかの問題が重なり、緊張が高まっている。

イスラエルはパレスチナ・ガザ地区でイスラム組織ハマスと戦い、レバノン国境沿いではイランの支援を受ける過激派ヒズボラと銃撃戦を繰り広げている。

イラクとシリアではイランの支援を受ける民兵が米軍を標的にしている。米英両政府はイランの支援を受けるイエメンのフーシ派拠点を空爆。フーシ派は紅海の商船を攻撃し続けている。

パキスタン外務省は18日、イラン領内への空爆について、「大規模なテロ活動が差し迫っているという信頼できる情報に基づき、実施した」と明らかにした。

また同省は「イランの主権と領土保全を完全に尊重する」と強調した。

それによると、軍による精密攻撃はドローン、ロケット、長距離ミサイルで行われ、バルチスタン州に拠点を置くバルチスタン解放軍(BLA)とその関連組織の拠点を破壊したという。

バルチスタン州では四半世紀ほど前から国軍と分離主義勢力による紛争が続いている。BLAなどの反乱軍は州の資源を分配するよう中央政府に求めていたが、後に独立を求めて反乱を起こした。

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