◎ネタニヤフ政権の改正案がそのまま成立すると、国会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる。
イスラエルの首都テルアビブで8日、ネタニヤフ政権の司法制度改革に抗議する集会やデモ行進が行われ、約15万人が参加した。
AP通信によると、その他の都市でも数百人規模の集会が開かれたという。
ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が提唱する司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせた。
デモ隊は半年以上に渡って改革案に抗議し、ネタニヤフ政権が法案を廃案にしない限りデモを続けると表明している。
地元メディアによると、デモの勢いは弱まりつつあったものの、パレスチナ自治区に対するイスラエル軍の取り締まりが強化された後、勢いを取り戻したという。
ネタニヤフ政権は来週、国会で法案を審議する予定である。
一方、デモ隊に同情的すぎると超国家主義政党から批判を浴びたテルアビブの警察幹部が今週解雇され、怒りと不満がさらに高まっているようにみえる。
警察によると、テルアビブ中心部に集まったデモ参加者は推定約15万人。その一部が主要幹線道路を封鎖しようとしたため、取り締まったという。
警察は幹線道路の群衆に放水砲を浴びせ、追い払った。
ネタニヤフ氏の与党リクードと連立を組む超国家主義政党は同国の法制度について、選挙で選ばれたわけでもない司法に過剰な権限を与えていると非難し、司法の判決を覆す権限を国会に付与するよう提案している。
ネタニヤフ氏の改正案がそのまま成立すると、国会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる。
ネタニヤフ氏の盟友が委員長を務める立法委員会は先週、国会が承認した決定を「合理的な理由なく覆すことを禁じる法案」を賛成多数で承認した。
国会は早ければ10日にもこの法案を採決する可能性がある。
ネタニヤフ氏は3月、主要都市で大規模なデモが相次いだことを受け、法案の審議を延期したが、先月、計画を前進させると発表した。
イスラエルの最重要同盟国である米国のバイデン(Joe Biden)大統領もこの改正案に強く反対し、海外で生活する多くのユダヤ人からも困惑の声が上がっている。