◎スウェーデンの首都ストックホルムで28日に行われたイスラム教の聖典コーランの写しを燃やすデモはイスラム国家の怒りを煽った。
イラクの首都バグダッドで30日、スウェーデンのコーラン焼却デモに抗議する集会やデモ行進が行われ、イスラム教シーア派の反米指導者・サドル(Moqtada al-Sadr)師の支持者ら数千人が参加した。
スウェーデンの首都ストックホルムで28日に行われたイスラム教の聖典コーランの写しを燃やすデモはイスラム国家の怒りを煽った。
バグダッドのデモに参加した人々は駐スウェーデン大使の国外追放などを要求した。
その他の都市でも同様の抗議集会が開かれ、ある都市ではスウェーデンの国旗とLGBTQ+(性的少数者)を象徴するレインボーフラッグが焼き払われた。
レインボーフラッグを焼いた集団は「悪魔は去れ」と連呼していた。
バグダッド郊外のデモに参加したサドル師の側近は演説で、「スウェーデン大使を追放し、外交関係を断ち切るべきだ」と主張した。
バグダッドの在スウェーデン大使館は前日、怒れる暴徒の攻撃を受け、職員が一時避難する事態に発展した。
ストックホルムのコーラン焼却デモを主催した男性はイラク系クルド人とされる。
イラクの治安当局によると、この男性はキリスト教徒で、2016年に同国の軍隊に編入されたシーア派民兵組織のキリスト教部隊に参加したことがあるという。
スウェーデン警察は今週、コーラン焼却デモを禁じるという決定がストックホルム地裁で覆されたため、表現と言論の自由を理由に28日のデモを許可していた。
イスラム教の犠牲祭イード・アル・アドハに合わせて行われたこのデモは世界で非難を浴びている。トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は29日、スウェーデンのNATO加盟は遠のいたと示唆した。
イラク当局はコーランを燃やした男を起訴するとして、スウェーデンに身柄を引き渡すよう求めている。