◎マレーシアの刑法は厳しく、殺人、麻薬密売・取引、反逆、誘拐、テロ行為など、さまざまな犯罪を「問答無用」で絞首刑としていた。
マレーシア、首都クアラルンプール、死刑制度に反対するデモ隊(Getty-Images)

マレーシア国会(下院)は3日、刑事法制の改革の一環として、死刑の対象となる罪状を見直す法案を可決した。

法務省の報道官は声明で、「凶悪事件に対する死刑は維持したうえで、30~40年の懲役刑と12回以上のむち打ち刑が選択肢に追加されるようになる」と述べている。

マレーシアの刑法は厳しく、殺人、麻薬密売・取引、反逆、誘拐、テロ行為など、さまざまな犯罪を「問答無用」で絞首刑としていた。

今回の改革により、誘拐や特定の銃器犯罪など「他者を死に至らしめない犯罪」が死刑の対象から除外されることになる。

専門家はマレーシアの死刑判決を「事実上の終身刑」と呼んでいる。その多くが死ぬまで刑務所に収監されているのだ。これが懲役30~40年に置き換えられることになる。

法務省の報道官は声明の中で、「この改革は刑事司法制度にとって重要な前進である」と述べている。

また報道官は「この改革により、現在収監されている死刑囚1318人のうち842人に控訴する権利が与えられる」とした。

法律が施行されると、緩和対象の罪状で有罪判決を受けた死刑囚は90日以内に刑の見直しを申し立てることができる。ただし、有罪判決は覆らない。

法案は上院と国王の承認を得て公布される予定だ。

政府は昨年、死刑制度の廃止を提案したが、総選挙のため国会が解散され、法案は審議されることなく廃案となった。

人権団体によると、同国の死刑囚のうち500人以上が外国人だという。その多くが麻薬密売で死刑を宣告されている。

法律が施行されると、死刑の対象は「殺人、麻薬密売、反逆」の3つに絞られることになる。

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