◎マクロン氏は食肉加工エリアで「やらなければ、年金の財源を確保できません」と訴えた。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が21日、パリ南部の国際卸売市場を訪問し、職員に年金制度改革の重要性を訴えた。
マクロン氏は争点となっている定年年齢の引き上げ(62歳→64歳)を提唱し、社会保障を維持するためには「もう少し」働く必要があると語った。
国民議会(下院)では先週、この法案をめぐる激しい論戦が繰り広げられ、与野党議員による罵り合いがライブ配信された。ある野党議員は「この人殺し」と叫び、その後謝罪した。
野党は数十万人規模の集会でマクロン氏に「撤退」を求め、ストライキに発展。極左政党「不服従のフランス」は定年を55歳に引き下げるよう提案した。
マクロン氏はこの問題が噴出して以来、初めて公の場で市民と話をした。
マクロン氏は食肉加工エリアで「やらなければ、年金の財源を確保できません」と訴えた。
またマクロン氏は「この法案が成立すれば労働時間が増えるため、国により多くの富をもたらす」と主張した。「働けば働くほど、あなたと国は豊かになり、社会保障は持続可能となるのです...」
マクロン氏は「若くして働き始めた人や、特殊な環境下(3交代制や寒冷地での仕事など)で働く人々の早期退職は認められる」と強調した。
政府によると、年金制度は高齢化に伴い、今後10年で赤字に転落する見通し。他の先進国も似たような問題を抱えている。
マクロン氏は「私は仕事を信じている」と語った。「私は仕事を信じています。私は6年前からこのために働いて決ました。この改革はフランスの社会保障だけでなく国民も救うと確信しています。なぜなら、仕事とは、あなたに給料を与え、あなたの家族を支え、あなたに生きがいをもたらすからです」
マクロン氏は昨年の大統領選キャンペーンでも年金改革を公約の柱に掲げていた。
マクロン政権はフランスの労働市場をより柔軟にし、経済を活性化させるとして、さまざまな改革を行ってきた。その中には、労働者の雇用と解雇を容易にし、事業税を削減し、失業者の給付請求をより困難にする改革が含まれている。
左派政党はこれらの改革が社会のセーフティネットを破壊し、格差拡大につながったと主張している。
国民議会は法案を採決できなかった。この結果、法案は憲法に基づき上院に送られ、来月2日から審議される予定だ。
上院で可決されれば、再び国民議会で審議が始まる。