◎トルコはNATO加盟を目指すスウェーデンとフィンランドがクルド人武装勢力を匿っているとして、NATO加盟批准手続きを留保している。
トルコのエルドアン大統領(右)とスウェーデンのクリステルソン首相(Bloomberg)

スウェーデンの最高裁判所は19日、トルコで指名手配されているクルド人男性のトルコへの身柄引き渡し要請を退けた。

判事は「これは政治的な性質を持つ問題であり、身柄引き渡しを認めることはできない」と裁定した。

また判事は身柄を引き渡した場合、男性は政治的見解に基づく迫害を受ける可能性があると警告した。

公共放送スウェーデン・テレビ(SVT)によると、トルコ政府はスウェーデンに亡命中のケネス(Bulent Kenes)氏が2016年のクーデター未遂に関与しているとして、身柄の引き渡しを求めているという。

ケネス氏は米国に拠点を置くトルコ人のイスラム教指導者ギュレン(Fethullah Gulen)師とつながりのあるメディアが所有する新聞社の編集長を務めていた。

このメディアのトルコ事務所は閉鎖されている。

トルコ政府はクーデターにギュレン師が関与しているとして、その関連ネットワークをテロ組織に指定している。

トルコはNATO加盟を目指すスウェーデンとフィンランドがクルド人武装勢力を匿っているとして、NATO加盟批准手続きを留保している。

NATO加盟には現加盟30カ国の承認が必要である。

エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は先月、首都アンカラでスウェーデンのクリステルソン(Ulf Kristersson)首相と会談した際、ケネス氏を名指しし、速やかに身柄を引き渡すよう要請していた。

ケネス氏は19日、最高裁の決定を歓迎したうえで、「自分を犯罪者と見なすのはおかしい」と指摘した。

ケネス氏はSVTのインタビューで、「トルコは私を犯罪者と呼んでいるが、私は何もしていない」と語った。

またケネス氏はエルドアン氏がNATO加盟批准を口実にしてスウェーデン政府に圧力をかけてくると主張した。

トルコのメディアによると、大統領府はこの判決に関する声明を出していないという。

スウェーデン政府は今月初め、2015年にクルド人武装勢力の構成員としてトルコの裁判所で有罪判決を受け、同国に逃亡した男性に国外退去を命じた。

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