◎同国の今年1月~10月の亡命申請数は1万8000件を超え、過去最多を更新した。
キプロス政府は1日、同国の移民送還数が人口100万人あたりに換算するとEU加盟国の中で最も多くなったと発表した。
ノウリス(Nicos Nouris)内相は記者会見で、「今年送還した移民は7000人近くに達し、その70%を不法入国者が占めた」と明らかにした。同国の人口は約120万人である。
ノウリス氏によると、同国は昨年、不法入国した移民の約17%を本国に送り返したという。
今年1月~10月の亡命申請数は1万8000件を超え、過去最多を更新した。
ノウリス氏は、「亡命申請中の人とすでに保護資格を与えられている人の数は人口の6%超に相当する」と述べた。キプロスと同じ島国である日本の難民審査請求数は3000~4000件ほどである。
キプロスは1974年のキプロス紛争で分裂。それ以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって対立している。
北キプロスはトルコ軍の支援を受けて1983年に独立を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
ノウリス氏によると、亡命希望者の約95%が北キプロスから侵入した移民だという。両国の境界約180kmは国連が定める緩衝地帯となっている。
キプロス政府はこの緩衝地帯にフェンスと監視装置を設置している。
ノウリス氏は首都ニコシアで開催された欧州委員会の会合で、「キプロスは官僚的な手続きを見直し、インド、バングラデシュ、パキスタン、ベトナムなどの国々と協定を結んだことで、非常に多くの移民を送還することができた」と語った。
またノウリス氏はEUの執行機関である欧州委員会と加盟国が「移民と密入国者の両方に対処すると確信している」とけん制した。
さらに、「EUは加盟国に滞在する許可を得ていない人々を一元的に管理し、必要に応じて本国に送還すべきだ」と指摘した。
欧州委員会はキプロスに移民が大量流入していることに懸念を示し、北キプロスとトルコに責任ある行動を取るよう求めている。