月経中の女性に対する差別と偏見、未開の地インド

インドでは、月経中の女性に対する差別が国の隅々にまで行き渡っている。それは長い間タブーとされ、不純かつ不潔であると考えられてきた。

月経中の女性は社会的および宗教行事から除外され、近づくことすら許されない。さらに、寺院や神社、酷い場合は台所への立ち入りすら拒否されてしまう。

世界月経衛生デー(5月28日)にあたり、受賞経験のある写真家ニラー・ジュゲーラ氏は、同国内に蔓延する「聖なる汚れ」の歴史を痛烈に批判、時代錯誤な下らぬ考えであると述べた。

ある研究によると、インド国内で思春期を迎える少女の71%が月経の存在を知らず、それが始まるまで身体の異変に気付かないという。しかし、両親は娘が必ず迎えであろう生理現象を理解している。

同国内で月経への差別が当たり前になってしまった結果、両親は娘にそれがくることを教えたくないと考える。結果、娘はある日突然身体の変化に気づき、困惑と同時に恐怖するのである。

同国内における女性の地位が低い(不当に低く扱われている)ことは周知の事実である。それが月経への差別、身の毛のよだつ性暴力につながる。生理用ナプキンも差別を受けてきた対象のひとつだった。

2018年、女性の権利向上を訴える活動家たちの努力が実り、生理用品にかけられていた「12%の物品サービス税(GST)が撤廃された。これらは”贅沢品”と考えられ、政府は”対した根拠もなく”過度に税金を徴収していたのである。

生理用品に対する不当な扱いはなくなったが、国内の全ての女性が月経時の衛生と健康を手に入れるためには、恐ろしい時間と労力がかかる。免税措置は、はるか遠くに見えるゴールへの第一歩に過ぎない。

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不当な扱い

ある研究によると、インド国内で月経を迎えた約3億5,500万人のうち、約36%(1億3,000万人)が生理用ナプキンを使用している。しかし残りの女性は、家庭内にまで蔓延する不当な差別、そして貧困などにより、古い布切れ、殻、灰、泥、土などで処理せざるを得ない状況だという。

当局の専門家は、現在のコロナ危機が同国内におけるそれらの問題をさらに悪化させていると考えている。厳格なロックダウンにより、生理用ナプキンを含む衛生用品の生産と供給が需要に追い付かず、深刻な影響を与えているという。

世界の子どもの権利非営利団体「Plan UK」の調査によると、21歳未満の恵まれない少女の10人に1人は衛生用品を買うことができず、新聞紙、トイレットペーパー、靴下などの非衛生的な代替品で月経を処理していることが分かった。

女性は、幼い頃から痛みと恐怖と共に生きることを学び、生理による精神的および肉体的苦痛、不快感は身体の成長に欠かせないものと理解する。女性が月経に関連する助けを求めることは滅多にない。

近年はソーシャルメディアの発展により、女性間で月経に関するトラブル、悩みなどを共有できるようになった。しかしインド国内では、その悩み自体が疑問視され、話題にすることすら許されない、という風潮がある。

ニラー・ジュゲーラ氏はBBCの取材に対し、「不当な差別で女性を黙らせる時代は終わった。誰もが生理のもたらす痛みを理解し、それに関する知識を得なければならない。ソーシャルメディアは強力なツールであり、ありとあらゆる女性が積極的に情報を発信すれば、月経を知らない、月経が来ることを教えたくない、という考えを覆すことができる」と述べた。

同氏が運営する慈善団体”Humanify Foundation”は、同国で貧困状態にある全ての女性と少女に生理用ナプキンを無料配布する請願およびそれに伴う各種活動を開始した。

思春期の健康問題に取り組んでいる慈善団体”Dasra”が行った2014年の調査によると、毎年約2,300万人(世界)の少女が生理などを理由に学校を中退していることが分かった。生理用品を使用(購入)できる者はよいが、そうでない者はクラスメートにからかわれるなどの扱いを受け、追い詰められてしまうという。

ある研究者は、月経に関する家族からのフォローがなかったり、差別を受けるなどした結果、女性自身も月経は汚い、不純なものと考えるようになってしまうと言う。

月経は女性の健康な身体と健康を維持するために欠かせない生理学的プロセスのひとつに過ぎない。それを差別、タブー視すること自体間違いである。

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