◎数百万のシリア難民を受け入れているレバノンは西欧を目指す亡命希望者の出発点のひとつになっている。
キプロス当局は20日、イタリア沖で亡命希望者とみられる人々を乗せたボートを発見、救助したと発表した。
沿岸警備隊によると、全長約18mの木造船に300人以上が押し込まれていたという。船長は19日午後、「エンジントラブルが発生し航行不能に陥った」と救難信号を発信していた。
キプロス海軍と警察は巡視船3隻とヘリを派遣し、木造船を発見した。
報道によると、この船は19日未明にレバノンを出港し、イタリアを目指していたという。
沿岸警備隊の報道官はAP通信の取材に対し、「人々の国籍はまだ特定できていないが、体調を崩している人はいないと報告を受けている」と説明した。
報道官によると、人々は近くを航行していたマーシャル諸島籍の貨物船に一時避難したという。
APは当局者の話を引用し、「海軍は人々をキプロスの収容施設に移送する準備を進めている」と報じた。
一方、沿岸警備隊はキプロス南方約56kmの地点でもボートを救助した。このボートには亡命希望者177人が乗船し、そのうち67人は女性と子供だった。このボートもレバノンからイタリアに向かっていたと伝えられている。
APによると、177人の健康状態に問題はなく、キプロス島内の収容施設に移送中だという。
数百万のシリア難民を受け入れているレバノンは西欧を目指す亡命希望者の出発点のひとつになっている。
レバノンは近代史上最悪と呼ばれる経済危機に見舞われており、多くのレバノン人、シリア・パレスチナ難民が地中海に漕ぎ出し、命を落としている。
この海域で活動するEUの沿岸警備隊はほぼ毎週、ボートを救助している。