◎ウクライナ政府は2月24日の開戦以来、ロシア軍が自国領内の穀物や鉄鋼製品を略奪していると非難している。
ウクライナ政府は28日、ウクライナ産穀物を積んだ中東シリアの貨物船がレバノンの港に入港したと発表した。
ベイルートのウクライナ大使館によると、貨物船「ラオディケア号」はレバノン第二の都市トリポリの港に停泊したという。同大使館は積み荷について、「ウクライナ産小麦5000トンと大麦5000トンを積んでいる」とした。
米財務省は2015年、シリアのアサド(Bashar al-Assad)政権とつながりがあるとして、この貨物船に制裁を科している。
ウクライナ政府は2月24日の開戦以来、ロシア軍が自国領内の穀物や鉄鋼製品を略奪していると非難している。ベイルートの大使館はこの穀物がレバノンに輸送された経緯を明らかにしていない。
船舶の位置情報などを提供するマリントラフィック(Marine Traffic)も、28日にトリポリの港にシリア貨物船が停泊したと報告している。
ラオディケア号はシリアのタルトゥース港に今週初めに到着する予定だった。同船がレバノンに迂回した理由や、そこで積み荷を降ろしているかどうかは不明である。
ベイルートのウクライナ大使館によると、ウクライナ特使はレバノンのアウン(Michel Aoun)大統領と会談し、「ウクライナの盗品を購入すれば二国間の関係を損なう」と警告したという。
レバノン政府はロシアを公式に非難している。
ウクライナ大使館の報道官はAP通信の取材に対し、「レバノン政府は調査を行うと約束した」と述べた。
また同大使館は、経済危機に見舞われているレバノンに小麦を輸出することを約束したと報告している。
ロイター通信などによると、レバノンの経産相はラオディケア号に関する情報を明らかにしなかったという。
シリアのアサド政権はロシアと密な関係を構築しており、ウクライナ東部の分離主義国家の独立を承認し、ウクライナと断交した。