◎ロシア軍は東部ドンバス地方を構成するルハンシク州を完全制圧し、その南西に位置するドネツク州への攻勢を強めると予想されている。
ウクライナ政府は5日、ロシア軍が東部ドネツク州スラビャンスク中心部の市場を砲撃し、少なくとも2人が死亡、7人が負傷したと発表した。
ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事はテレグラムに声明を投稿。ロシア軍の砲撃を「テロ攻撃」と非難した。
スラビャンスクの市長によると、ロシア軍は同市への攻勢を強め、至近距離から砲撃を繰り返しているという。
市長はフェイスブックに市場の写真を投稿。「スラビャンスクは大規模な砲撃を受けている」とし、市民に避難所に留まるよう呼びかけた。
ロシア軍は東部ドンバス地方を構成するルハンシク州を完全制圧し、その南西に位置するドネツク州への攻勢を強めると予想されている。
ウクライナ軍は先週、ルハンシク州最後の拠点リシチャンスクから撤退した。ロシアは同州制圧を大きな成果と祝ったが、ウクライナは西側の最新兵器が届き次第、奪還作戦を開始するとしている。
この地域のウクライナ軍は現在、スラビャンスクを含むドネツク州に防衛ラインを構築し、ロシア軍の侵攻に備えている。
ルハンスク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は5日、「同州の端、リシチャンスク付近で激しい戦闘が起きている」とテレグラムに投稿した。
ガイダイ氏によると、ロシア軍はルハンシク州の端を流れる河川に橋を建設し、ドネツク州に兵士を送り込もうとしているという。
ガイダイ氏は「ロシア軍は橋を渡れず、兵士を失っている」と説明した。
ロシア軍はドンバス以外の地域にもミサイルを撃ち込んでいるとみられる。
一方、ロシア国営メディアは5日、ロシア軍の支配下に置かれている南部ザポリージャ州から中東向けの穀物が輸出されていると報じた。タス通信によると、同州の親ロシア勢力はイランおよびサウジ企業との穀物取引に合意したという。
トルコ政府はウクライナ南部の港で穀物を略奪したとみられるロシア籍貨物船を拿捕している。トルコ大統領府の報道官はAP通信の取材に対し、「貨物の穀物がウクライナ産と証明されれば、その代金はウクライナに支払うかもしれない」と語った。
ロシアの侵攻を受けNATO加盟を決断したスウェーデンとフィンランドの両外相は5日、ブリュッセルのNATO本部で加盟に向けた手続きを正式に開始した。
NATO加盟には現加盟30カ国の合意、議会の批准が必要である。トルコを除く29カ国は速やかに手続きを開始すると期待されている。