◎シリアのアサド政権はロシアとの関係を最重要視し、西側との対決姿勢を前面に押し出している。
シリアのアサド政権は29日、ウクライナ東部の分離主義国家である「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」を独立国家として承認し、外交関係を樹立するための取り組みを開始すると発表した。
シリア外務省によると、アサド(Bashar al-Assad)大統領は首都ダマスカスに両地域の代表団を数日前に招き、会談したという。
ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州の大半を制圧したと主張し、同州セベロドネツクの対岸都市リシチャンスクへの攻勢を強めているものとみられる。
ロシアは炭鉱や工場が集まる東部ドンバスを完全制圧したいと考えている。
ロシアのショイグ(Sergei Shoigu)国防相は29日、ロシア軍はルハンシク州のほぼ全域を押さえていると述べた。ウクライナ軍は同州のアゾト化学工場に拠点を置き、ロシア軍の猛攻に耐えている。
ウクライナ政府関係者や軍事アナリストによると、ロシアは現在、ドネツク州のおよそ半分を占領したように見えるという。
一方、シリアのアサド氏はロシアとの関係を最重要視し、西側との対決姿勢を前面に押し出している。ロシア軍は2015年9月にシリア内戦に加わり、アサド政権を支援した。
国営シリア・アラブ通信(SANA)が29日に報じた外務省の声明によると、アサド政権は2地域の独立を承認したが、それ以上の詳細には言及していない。
SANAは外務省当局者の声明を引用し、「シリア・アラブ共和国はルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国の独立・主権を承認した」と報じている。
またSANAは、「政府は両地域と外交関係を樹立し、関係を強化するための取り組みを進めている」とした。
ロシアの支援を受けるルガンスクとドネツクはウクライナ侵攻にも深く関与している。両地域は2014年のクリミア併合以来、ウクライナ軍と対峙し、衝突を繰り返してきた。