◎ゼレンスキー氏が首都キーウを離れたのは開戦以来2回目と伝えられている。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は18日、南部の最前線都市オデーサ州とミコライフ州を視察した。
大統領府によると、ゼレンスキー氏は空爆で破壊された住宅地などを視察し、兵士や医療従事者をねぎらったという。
両都市は黒海沿岸の確保を目指すロシア軍の標的のひとつとなっている。
ロシア軍は東部ルハンシク州の完全制圧を目指し、同州におけるウクライナ軍の最後の拠点とされるセベロドネツクとリシチャンスクに総攻撃を仕掛けている。
ゼレンスキー氏が首都キーウを離れたのは開戦以来2回目と伝えられている。
ゼレンスキー氏は5月末にハルキウ州を視察した際、前線の兵士に「ウクライナを大切にする、それが私たちがここで戦う唯一の理由、私たちが持っている唯一のものだ」と語った。
一方、ロシアはウクライナの「否ナチ化」と「非武装化」を目指すと主張している。
国連によると、2月24日の開戦以来、民間人4500人以上の死亡が確認され、5600人近くが負傷したという。両軍は兵士数千~数万人を失ったと考えられているが、正確な数は不明である。
ウクライナの国内外避難民は1300万人を超えた。
西側諸国はロシアに厳しい制裁を科し、ウクライナに兵器を供与しているが、ウクライナ政府によると、戦地に届いた兵器は申し出を受けた総量の10%にとどまっているという。
戦況を分析している英国防省は18日、ロシア軍はルハンスク州を制圧次第、ドネツク州への侵攻を再開する可能性が高いと報告した。
一方、ウクライナ軍は18日、ドネツク州郊外とルハンシク州郊外でロシア軍の部隊を撃退し、セベロドネツク近郊でも戦闘が続いているとした。
ウクライナの国営メディアは国家安全保障会議の高官のコメントを引用し、「毎日500人ものウクライナ兵が死亡している可能性があるという一部の政府関係者の情報は確かなものではない」と報じている。
ゼレンスキー氏は1日最大100人の兵士が死亡しているとビデオ演説で報告していた。
ウクライナ政府は「ロシア軍が占領地から去れば」和平交渉に応じるとしている。
首都キーウのクリチコ(Vitali Klitschko)市長は18日に放送された英BBCニュースのインタビューの中で、「最後のロシア兵がウクライナ領から去るまで、和平交渉には応じない」と語った。「ロシアの国民はいずれ、多くのロシア兵がウラジーミル・プーチンの野望のせいで死んだ、もしくは死んでいることに気づくでしょう」
西側諸国の一部の政治家はウクライナ側に停戦を促し、ロシアよりの政治家は領土の割譲もあり得ると示唆している。