◎ウクライナ政府は市内に閉じ込められた市民を1万2000人と見積もっている。
国連は15日、ウクライナ東部ルハンシク州セベロドネツク市内に閉じ込められた市民の物資が不足し、大量死を招く恐れがあると懸念を表明した。
市内のアゾト化学工場地下には市民数百人が避難していると伝えられている。
ロシア軍はセベロドネツクと対岸のリシチャンスクを結ぶ橋をすべて破壊し、同市を完全に包囲した。
ウクライナ政府は市内に閉じ込められた市民を1万2000人と見積もっている。
ロシアと親ロシアのテロ国家であるルガンスク人民共和国はこの地域を占領すれば、ルハンシク州全域を支配下に置くことができる。
国連人道問題調整事務所(OCHA)のアブレウ(Saviano Abreu)報道官は15日、英BBCニュースのインタビューの中で、市内に閉じ込められた人々は崖っぷちに立たされていると警告した。「水がなければ、人間はそう長く生きられません。私たちは市内の水供給と衛生環境の悪化を懸念しています...」
またアブレウ氏は戦闘が続いている地域の食料や医薬品不足にも懸念を表明した。
国連はセベロドネツクに閉じ込められた人々に支援物資を届ける必要があると国際社会に呼びかけているが、戦闘が収束する見通しは立っていない。
ロシアは14日、アゾト化学工場に避難した民間人を安全に避難させる人道回廊を設置すると発表した。
しかし、現地の主要メディアは15日午後の時点で、「安全回廊が本当に設置されたかどうか分からない」と報じている。ロシアは「親ロシア地域に続く回廊を設置する」としているため、市民が避難を拒んだ可能性もある。
一方、ルガンスク人民共和国のロシア大使は15日、テレグラムに声明を投稿し、「ウクライナ軍がアゾト化学工場に閉じ込められた市民の避難を妨害した」と主張した。「我が国の領土を占領している武装勢力は市民の避難を妨害し、戦車と迫撃砲で攻撃を仕掛けてきました」
ロシア国営メディアは、ウクライナ軍は工場に閉じ込められた市民を「人間の盾」にしたと非難している。
セベロドネツクの市長は15日、ロシア軍の集中砲火が続いていると報告した。
市長はテレグラムに投稿した最新の戦況報告で、「東部地区はまだウクライナ軍の管理下にある」と説明した。「兵士たちは市の中心部にロシア軍を押し戻そうとしています。この作戦は一部地域で成功、一部で失敗し、厳しい攻防が続いています...」
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は15日、ビデオ演説で米国の追加軍事支援に謝意を表明した。米国は同日、ウクライナに10億ドル相当の兵器を新たに供与すると発表した。
ウクライナ当局は西側の長距離兵器があればセベロドネツクを防衛できるとし、供与を加速するよう重ねて呼びかけている。