◎オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は15日、NATO加盟を申請したスウェーデンとフィンランドに「具体的な措置」を取るよう促した。
半国営アナトリア通信によると、エルドアン氏はNATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長との電話会談で、「北欧2カ国はトルコの正当な懸念に対処する必要があり、ステップアップしなければNATO加盟交渉は進展しない」と警告したという。
アナトリア通信は政府高官の発言を引用し、「そのステップにはテロとの戦いにおけるパラダイムシフトと防衛産業に対する約束などが含まれる可能性がある」と報じた。
エルドアン氏はスウェーデンとフィンランドがトルコでテロ組織に指定されている「クルド労働者党(PKK)」を支援する限り、両国のNATO加盟は認められないとしている。
米国とEUもPKKをテロ組織に指定している。
トルコのチャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相も15日、「北欧2カ国のNATO加盟に向けた交渉は、まず、トルコの要求に応えなければならないだろう」と指摘した。
一方、ストルテンベルグ氏はツイッターに、「6月29日からマドリードで開催されるNATO首脳会議に先立ち、エルドアン氏と建設的な会話をした」と投稿している。「私たちはテロとの戦いに関するトルコの正当な安全保障上の懸念に対処し、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟プロセスを進展させることの重要性について議論しました...」
チャブシオール氏は以前、トルコの支持を得たいのであれば、両国はまず法律を改正する必要があると指摘していた。
スウェーデンとフィンランドは先月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、軍事的な中立を維持するという政策を覆した。
しかし、NATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要であり、NATOで2番目に大きい軍を有するトルコは両国の加盟に待ったをかけた。
エルドアン氏は両国がPKKのテロリストの引き渡しに応じ、クルド人武装勢力に対する立場を改め、トルコに課している武器輸出制限を解除するのであれば、協議に応じるとしている。
ストルテンベルグ氏は13日、訪問先のスウェーデンで、「NATOはトルコの懸念にできるだけ早く対処するための取り組みを進めている」と記者団に語った。
一方、フィンランドのマリン(Sanna Marin)首相は14日、6月29日のNATOサミットまでにトルコの合意が得られない場合、同国とスウェーデンの加盟交渉は失速する可能性があると懸念を表明した。
オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。
クルド人は1950年代に欧州に渡り、コミュニティを形成した。