◎スウェーデンとフィンランドはトルコの懸念に対処しなければNATOに加盟できない可能性がある。
NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は13日、「スウェーデン政府はNATO加盟の一環として、トルコの懸念に対処する用意がある」と述べた。
ストルテンベルグ氏はスウェーデンの保養地でアンデション(Magdalena Andersson)首相と会談した。
スウェーデンとフィンランドはトルコの懸念に対処しなければNATOに加盟できない可能性がある。NATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要。
ストルテンベルグ氏は記者団に、「スウェーデン政府がNATO加盟の一環として、トルコの懸念に対処する用意があると確認できたことを嬉しく思う」と語った。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、スウェーデンとフィンランドがトルコでテロ組織に指定されている「クルド労働者党(PKK)」を支援していると非難し、両国が政策を変更しない限りNATO加盟は認めないとしている。
米国とEUもPKKをテロ組織に指定している。
アンデション首相はトルコの懸念を「深刻」と呼び、問題解決を目指すとした。
一方、ストルテンベルグ氏によると、スウェーデン政府はテロ対策法の改正に向けた調整を進めており、「武器輸出に関する法的枠組みがNATO加盟交渉を後押しする」と説明した。
エルドアン氏は両国に対し、PKKを含むクルド人武装勢力への対応を改め、トルコに対する武器輸出制裁を解除するよう求めている。
ストルテンベルグ氏は、「この問題を6月28日のNATO首脳会議(スペイン)までに解決できるか、または9月11日に予定されているスウェーデン議会選挙までに解決できるか」というメディアの質問には答えなかった。
スペインNATOサミットにはスウェーデンとフィンランドも招待されている。
ストルテンベルグ氏は12日にフィンランドのニーニスト(Sauli Niinistoe)大統領と会談し、「トルコの懸念は正当なものであり、真剣に考慮する必要がある」と述べていた。
スウェーデンとフィンランドのクルド人コミュニティはトルコの圧力に懸念を表明し、エルドアン氏が求めているPKKメンバーの引き渡しに応じるべきではないとしている。
オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。
クルド人は1950年代に欧州に渡り、コミュニティを形成した。